こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

バズ・ライトイヤー

与えられたミッションを完遂するまでは決してあきらめない。たとえ、それを命じた人がいなくなっても。物語は、はるか彼方の惑星に不時着した母船の乗組員を地球に帰すために、宇宙船の戦闘部隊隊員が挑戦を繰り返す姿を描く。新たなエネルギーを得るための実験飛行で数時間基地を離れている間に、仲間たちは4年以上年齢を重ねている。何度も繰り返すうちに、自分だけは若いままで周囲は世代が交代している。彼らにとってはこの惑星こそが故郷でもはや地球に戻る必要はない。それでも愚直に己の使命を遂行する主人公は、時代遅れのヒーローを象徴していた。男は蛮勇をふるうか意気地なし、女は愛情深く知的で合理的で時に勇敢に戦うというディズニー流フェミニズムがこの作品でも貫かれていた。

自らのミスで宇宙船を未知の惑星に不時着させてしまったバズは、光速推進エネルギーの実験を繰り返す。その間、相棒のアリーシャは同性結婚・人工授精で家族を作っていた。

気が付くと、惑星では基地が建設され、居住スペースも充実し、固有生物の侵入を防ぐシールドも完成して、新たな社会が出来上がっている。ひとりだけ地球への未練を断てないバズはもはや無用の長物となっている。そもそも、無事に地球に帰還できたとしても、地球はバズが出発した時よりも数百年単位で時間が経過しているはず。見知らぬ他人ばかりでバズの居場所はないだろう。その間、アリーシャは銅像になるほどの業績を上げて天寿をまっとうした。人を取り巻く環境や状況は時とともに変わる。柔軟に対応してこそよき人生を送れるとこの作品は教えてくれる。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

宇宙基地やロケットの構造、ロボットといったメカに関するヴィジュアルのディテールが、「スター・ウォーズ」に非常によく似ている。というより、まねしている。機能的なデザインを追求するとそこに行きつくのかもしれないが、既視感に襲われた。敵のラスボスと出会うというパラドックスにも違和感を覚えた。マッチョ的要素はあくまでも否定すべきものなのか?

監督     アンガス・マクレー
出演     クリス・エバンス/キキ・パーマー/ピーター・ソーン/タイカ・ワイティティ/デイル・ソウルズ/ジェームズ・ブローリン
ナンバー     122
オススメ度     ★★*


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