こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

女神の継承

深い森が生活圏のすぐそばに迫る小さな町、その一族の女たちは代々神の言葉を伝える巫女として人々の尊敬を集めている。そして、次世代にその役割を継承しようとしたとき恐ろしい力が彼女たちに襲いかかる。物語は、悪霊に憑依された娘をめぐって、巫女、両親、祈祷師などが祓いを行う過程を描く。若く美しい娘に異変が現れたのは白眼の老婆に見つめられて以降だった。不正出血し、酒浸りになり、職場に男を連れ込んではセックスにふけ、やがて心神喪失状態になると恐ろしい行為に走る。自殺した恋人の呪いかと思っていた。信仰する女神が守ってくれると信じていた。だが、娘に取り憑いたのは深い恨みと悲しみと怒りがこもった復讐の怨念。だが、「エクソシスト」に日本製ホラーのテイストをまぶした映像に新鮮さはなく、模倣の域を出ていなかった。

タイ北部に住む巫女・ニムのドキュメンタリーを製作するために彼女に密着する撮影隊は、継承の瞬間を収めるべく、彼女の姪で次代巫女候補のミンにもカメラを向け始める。

直系の女子でなくても巫女の血をひく者であれば問題ない。ニムも、ニムに巫女の継承を押し付けた姉も、ミンに起きた異変は経験している。最初は簡単な祈祷で収まると思っていたのに、ニムは少しずつ事態の深刻さを理解し、高名な祈祷師に悪霊払いの儀式を依頼する。その間、ミンは手が付けられなくなるほど暴れ、部屋に監禁される。夜な夜な家じゅうを徘徊しては奇行を繰り返すミンの姿をとらえた監視モニター映像は「パラノーマル・アクティビティ」の二番煎じだった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

さらに、巫女をレポートするために撮影隊がやってきたという設定がいつの間にかあいまいになり、収拾がつかなくなっているのはいかがなものだろうか。ゾンビにカメラマンが襲われているところを別のカメラマンが助けも逃げもせず撮影していたり、自分の腹にゾンビがかみついているのに撮影を続けていたり。カメラマン根性といえなくもないが、中途半端なドキュメンタリー風に仕上げる必要はない。

監督     バンジョン・ピサンタナクーン
出演     ナリルヤ・グルモンコルペチ/サワニー・ウトーンマサワニー・ウトーンマ/シラニ・ヤンキッティカンシラニ・ヤンキッティカン
ナンバー     141
オススメ度     ★★


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