機能的にデザインされた住宅街の上空を宅配ドローンが飛び交っている。料理からペットまで、ロボットがいるおかげで人々は清潔で快適な暮らしを享受している。そんな、少し未来の街に現れた1体の旧型ロボット。ブリキで覆われた外観は洗練からは程遠く、ヒョコヒョコとした二足歩行は人々の耳目を集める。物語は、トラウマから立ち直れない男が見知らぬロボットと旅をするうちに人生の目標を取り戻す過程を描く。厄介なものを拾ったと感じていた。早く責任を放棄したいと思っていた。なのにロボットは人懐こく自分にまとわりついてくる。やがて、帰るところのない主人公はロボットが抱える秘密とそれを強奪しようとする組織の計画を暴くための行動に移る。バディと共に生きる希望を取り戻していく映像は、テンションを上げすぎずアクションも控えめだった。
救急患者への処置に失敗し自信を無くした健は、自宅庭で見つけたロボット・タングと共に家を追い出される。タングの製造元がある福岡に向かうが、タングには修理が必要と診断される。
深センにいるロボット科学者を訪ねた健だったが、あっさりと黒服組織にタングをさらわれてしまう。追跡して奪還しようとするとボスが出てきてタングの来歴を健たちに教える。そこでタングはロボット工学にとって革命的な存在であることが明らかにされるが、この辺りの展開は非常に強引だ。小学校低学年以下対象なので、複雑にしても理解されないという判断だろうか。面倒くさいことに巻き込まれて気が進まないけれど、タングのために勇気を振り絞っていく健の感情が細やかに再現されていた。
◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆
赤ちゃんのように無邪気で駄々っ子のように拗ねるけれど、友情を結んだ相手は絶対に信頼する。感情や自我を持ち、恐怖を知ったからこそ生まれたタングの心。なんでも知っていてなんでもできる超高性能AIではなく、欠点だらけのタングは20世紀のロボット的な懐かしさを覚える。ただ、ストーリーの流れが単調で盛り上がりに欠けていたのは残念だった。
監督 三木孝浩
出演 二宮和也/満島ひかり/市川実日子/小手伸也/奈緒/京本大我/山内健司/濱家隆一/武田鉄矢
ナンバー 149
オススメ度 ★★