こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

シャーク 覚醒

ずっと標的にされてきた。助けを求めようとしても声が出なかった。そんな少年が、目を背けていたのは “弱い自分” だと気づいたとき、逃げずに戦う覚悟を決める。物語は、少年院に収容された少年が、己を守るために格闘技を身に着けていく過程を描く。まともに走る体力もなかった。貧弱な肉体には筋肉はついていなかった。それでも服役中の格闘家に弟子入りし、厳しいトレーニングに耐えた。やがて格闘家に気に入られた少年は見違えるようにたくましくなっていく。高校におけるすさまじいいじめ、少年院で生き残るための人間関係、そして出所後に待ち受ける復讐。少年にとって、敵だらけの娑婆よりも守ってくれる仲間がいる少年院のほうが居心地良さそうなのは、韓国社会がそれだけ荒廃しているからだろうか。

暴行されていた少女を助けようとしたウソルは、ソクチャンの右目をペンで刺し有罪判決を受ける。少年院に収監されると、さっそくボス格の男に目を付けられる。

体格も腕力も絶対に敵わない。子分たちがしつこく呼び出しに来る。偶然通りがかった元格闘技チャンピオン・ドヨンに助けてもらったウソルは、彼の庇護を受けることになる。負け犬根性が染みついたウソル自信を持たせるために、ドヨンはしごきの手を緩めない。もう崖淵に追い詰められているウソルはやるしかないと腹をくくり、必死に食らいついていく。家族を刺殺した強盗を殴り殺したという複雑な事情に心を閉ざしていたドヨンも、ウソルのひたむきな態度に少しずつ感情を取り戻していく。このあたり、喧嘩上等の世界で生き抜く術を身に着けていくウソルの成長と共に、彼に生きる希望を見出し取り戻していくドヨンの姿が、甘酸っぱくもほろ苦い青春と友情に昇華されていた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ただ、喧嘩のシーンの撮り方に工夫がなく、せっかく体にしみこませた格闘技の技よりも、最後は根性勝負になってしまう。ウソルには、殴られた分殴り返すのではなく、殴られないように防御し、洗練された技で相手を倒す姿を見せてほしかった。

監督     チェ・ヨジュン
出演     キム・ミンソク/ウィ・ハジュン/チョン・ウォンチャン
ナンバー     158
オススメ度     ★★*


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