こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

この子は邪悪

意識不明の重体だった母が突然元気になって病院から帰ってきた。父も妹も大喜びしているが、長女だけは強烈な違和感を覚えている。物語は、心療内科医の長女が体験する恐怖を描く。仲の良い家族のはずだった。父はいつも優しく話しかけてくれる。母も以前のようにおいしい料理を作ってくれる。白い仮面で顔のやけどを隠している妹も、明るく成長している。なのにやっぱり腑に落ちない。知らないところで途轍もないことが起きている。父の秘密を暴かなければならない。そんな時知り合った少年とは何でも話せる関係になった。彼もまた異常を抱えた母を持ち、母の症状に何らかの事件性を疑っている。そして明らかになっていく驚愕の真実。すべては家族のためと言って己の狂気を正当化する医師が持つベルの音がいつまでも耳に残る。

魂が抜けたような母と暮らす純は、わが子を虐待した親たちが同じような症状になっていると気づき、証拠を集めている。その原因と当たりを付けたくぼ心療内科で、長女の花と出会う。

交通事故以来、花も妹のルナも家にこもりっきりで、淳は花にとって外の世界とつながる唯一の糸。だが純は花の母が偽物だと気づき、花も母の目元のほくろが不自然なのを見抜く。さらにルナについての記事がネットに上がっていたためルナのアイデンティティにさえ疑いを向けざるを得なくなる。まずい状況になった母とルナが目を大きく見開いて目玉をランダムに動かすシーンは、他人の心を操る邪悪な存在に自分の心の奥底までのぞき込まれるようなおぞましさに満ちていた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

医院長の窪は催眠術を用いて患者の心を操っている。その強弱は患者によって使い分け、時に退行催眠を用いてすべての記憶に蓋をしたり新たな記憶を植え付けたりする。ただ、「魂を抜く」までは可能かもしれないが、別人の記憶や感情、後天的に身に着けた技能まで移植するのはさすがに説得力がない。幼い妹ならまだしも、もう大人になっている母親には、いくら強烈な愛があっても難しいのではないだろうか。

監督     片岡翔
出演     南沙良/大西流星/桜井ユキ/渡辺さくら/玉木宏
ナンバー     164
オススメ度     ★★*


↓公式サイト↓
https://happinet-phantom.com/konokohajyaaku/