こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

かがみの孤城

いじめにあった。理解してもらえず部屋に引きこもった。支援学級の先生は親身になってくれる。けれど、なかなか心を開けない。物語は、学校に居場所を作れない少女が6人の仲間と共に成長していく姿を描く。いきなり鏡の中に吸い込まれた。たどり着いた先は絶海の孤城。主人公に選ばれたと案内役は言う。だが、誰かが導いてくれると、先頭に立つ勇気はない。失敗を恐れるばかりに問題を先送りしようとする。それでも、他のメンバーの事情が明らかになっていくうちに、彼らはお互いがお互いを必要としていることを知り、力を合わせれば難局を打開できると思い至る。クラスメートの陰湿な仕打ち、事なかれ主義の担任、味方だけれど口うるさい母。現実世界はつらいことばかりでも、鏡の向こうには仲間がいる。7人の行動は、人間には居場所が必要であると訴える。

こころ、アキ、スバル、マサムネ、リオン、フウカ、ウレシノの7人の中学生は、オオカミ様と名乗る少女から、孤城内に隠された鍵を見つけ出す課題を与えられる。

鍵を見つけると願いが叶うという。だが、同時にこの世界の記憶も失う。時間はたっぷりある。7人はそれぞれ鍵を見つけようとするが、こころを始めそれほど大それた願いを持つ者はいない。ゲームやピアノなどそれぞれにやりたいことに集中し、まったりとした空気が流れている。やがて、現実世界でつらい目にあってきた彼らは、孤城内で少しずつ自分を取り戻していく。本来は活発なのに、何気ない一言で自信を無くしていた。そんな思春期の繊細な感情がリアルに再現されていた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

孤城は、出席欠席自由で好きなことをやって時間をつぶせる不登校生徒のためにフリースクールのようなものなのだろう。オオカミ様は時折ヒントはくれるが基本見守るだけで最低限のルールしか彼らに押し付けない。きちんと目標を与えて成功体験を積ませると自己評価とコミュニケーション能力が高まると信じているからだ。未来ある中学生には、信じて頼れる人間関係こそが財産になるのだ。

監督     原恵一
出演     當真あみ/北村匠海/吉柳咲良/板垣李光人/横溝菜帆/高山みなみ/梶裕貴/麻生久美子/芦田愛菜/宮崎あおい
ナンバー     239
オススメ度     ★★★


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