こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

猫たちのアパートメント

身を隠すところがたくさんあって、天敵はいなくて、黙っていてもおいしいエサがもらえる。人間たちには特に邪魔者扱いされることなく、おとなしくして体を撫でさせてやればむしろ可愛がってくれる。まさに猫たちの天国。カメラは、巨大団地に住み着いた猫と彼らの保護活動をする女たちの交流を追う。広大な敷地に250匹ほどが住み着いているという。だが立ち退きが決まり、餌付けしてくれていた “猫ママ” の数はどんどん減っていく。建物の解体工事が始まるまでに猫を安全な場所に避難させなければならない。その前に去勢・避妊手術を受けさせる必要もある。団地に住む猫好き女たちがすべて手弁当で半野良猫たちの世話をして彼らの未来を考えて行動する姿は、動物愛護とボランティアの在り方を象徴していた。

ソウル最大の団地、広大な公園や深い緑、住宅の床下など猫の住環境は良好だ。再開発を機にイラストレーターや写真家、ライター達が「猫の会」を発足させ、安全な引っ越し策を練る。

猫の会の会員は基本女。男たちは仕事に出て昼間団地にいないからだろう。在宅仕事や時間の融通が利くフリーランスが先頭に立つ。かつて団地に住んでいた猫ママたちが餌を与えすぎたせいで、団地の猫はみな健康状態がよくまんまると太っている。猫ママたちがいなくなった後の餌やり、これ以上個体数を増やさないための不妊処置、そして新しい住処への移動など、問題は山積。猫の会メンバーはその都度打ち合わせをし、他人任せにすることなく自分たちで罠を仕掛け、処置し、交通事故に遭わないか見守っている。彼女たちは化粧もせず身に着けるものにも無頓着。自分の身なりよりも猫を優先させる、その猫に対する愛情の深さが印象的だった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

クラウドファンディングなどという言葉も出てきたが、猫の会の運営資金はどうやって賄っていたのだろうか。猫缶や檻・シート、注射など、250匹の猫すべてを助けようと思ったらそれなりの費用が掛かるはず。きれい事だけではなく、そのあたりも突っ込んでほしかった。

監督     チョン・ジェウン
出演     
ナンバー     240
オススメ度     ★★*


↓公式サイト↓
http://www.pan-dora.co.jp/catsapartment/