こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

金の国 水の国

繁栄してはいるが水が枯渇しつつある国。科学文明では遅れているが森林や水資源に恵まれた国。国境を接して互いに反目し合う両国は、祖先の遺言に振り回される。物語は、豊かな国の姫と発展途上国の若者が奇妙な政略結婚に巻き込まれ、友好の礎になろうと奮闘する姿を描く。お互いに素性も事情も知らずに出会い、助け合い、協力し合ううちに、国同士のいさかいを自分たちなら止められるのではないかと気づく。頭の回転が速い若者はさっそく計画を立てて行動に移す。気立てのいい姫は彼を手助けするために体を張る。そして動き始めた壮大なプロジェクト。目先の利益や己の欲得ではない。国のため次世代の人々の暮らしのため、50年スパンの事業に身を投じるのだ。彼らのような覚悟が、21世紀の日本に必要なのではないだろうか。

金の国の姫・サーラに頼まれて夫のフリをすることになった水の国の技師・ナランバヤルは、無事姉王女たちの人定に合格、重臣に両国の国交を回復させる秘策を相談する。

金の国では主戦派の国王と和平派の王女がそれぞれ派閥を作り主導権争いをしている。国王は水の国を征服して水資源の奪取をはかっている。第一王女は水の国との和平でもう一度豊かな国力を取り戻そうとしている。意地悪そうな外見で愛人でもある重臣に篭絡されて国庫を枯渇させていそうな第一王女が、ナランバヤルの能力と人柄を見抜き全面的に信頼を寄せる。第一印象とは正反対、実は彼女たちこそが真の愛国者で平和主義者。リーダーに必要なのは部下の才能と熱意を見抜き能力が最大限発揮できる仕事を任せることなのだ。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

水道橋建設計画の責任者になったナランバヤルはサーラに支えられて難事業の実現に手を付ける。国王派の妨害は過激になるが、いつしかふたりの間に芽生えた愛はそれさえもはねのける強さを持っている。どんなにピンチに陥ってもひょうひょうとした態度を崩さず落ち着いて打開策をひねり出すナランバヤルの「難しいほうの道を選ぶ」生き方は、まさに未来の希望だ。

監督     渡邉こと乃
出演     賀来賢人/浜辺美波/神谷浩史/戸田恵子/茶風林/銀河万丈
ナンバー     18
オススメ度     ★★★


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