なぜアライグマなのに人間の言葉を理解するだけでなく高度な知性まで持ち合わせているのか。彼の脳裏に去来するのは同じ境遇の仲間を喪った哀しい記憶。物語は、生命の危機にさらされたメンバーを救うために敵地に乗り込んだチームの奮闘を描く。実験材料として知性を与えられた。数百万年に及ぶ進化の過程をカプセルで体験した。初めて友達ができた。でも、自分たちは使い捨てされる運命だと知ったとき、反乱を起こした。いまやアライグマは、全宇宙を理想的環境に作り替えるためにはなくてはならない鍵、彼を創造した男は執拗に追い続ける。登場人物の視点で見た映像から、流麗なワンショットで収められたバトルシーンまで、映像は入り組んだ人間関係をわかりやすくフィードバックした遊び心にあふれていた。
黄金の男が飛来、ガーディアンズをぶちのめした上に、ロケットの胸にキルスイッチを仕掛ける。ピーターたちは解除キーを手に入れるためにハイ・エボリューショナリーの要塞に侵入する。
有機体で構成された要塞のデザインが素晴らしい。外殻は固い皮膚のような細胞で覆われている。神経がコントロール室に直結していて異変を感知したらすぐに警備兵が駆け付ける。監視カメラは目玉、壁も床も扉もボタンも機械的な硬質さはまったくない。金属が使われているのはほんの一部。発達した機械文明はさまざまな分野で生物の領域に進出してきたが、有機生命体の洗練された機能にはまだまだ及ばないことを、比喩的に、象徴的に、暗示的に表現していた。
◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆
ハイ・エボリューショナリーが想像した地球そっくりの惑星では、人間のような二足歩行に進化したブタなどの動物が一般市民のような暮らしを営んでいる。一方で、理想の環境に作り替えたはずなのに、相変わらず貧困層は犯罪に走り格差はなくなっていない。このあたり、ロケットの秘密にスポットを当てたためハイ・エボリューショナリーは添え物扱いで、彼の狂気が目指す世界への共感は薄い。次回作はグルートが主人公になるのだろうか。
監督 ジェームズ・ガン
出演 クリス・プラット/ゾーイ・サルダナ/デイブ・バウティスタ/カレン・ギランネ/ポム・クレメンティエフ/ヴィン・ディーゼル/ブラッドリー・クーパー/ショーン・ガン/ウィル・ポールター/エリザベス・デビッキ/シルベスター・スタローン
ナンバー 82
オススメ度 ★★*