こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

カンフーくん

otello2008-03-29

カンフーくん


ポイント ★★*
DATE 08/2/15
THEATER 角川
監督 小田一生
ナンバー 40
出演 張壮/泉ピン子/西村雅彦/藤本七海
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


坊主頭にくりくり眼、わずか7歳にして圧倒的な運動能力と武術のテクニックを身につけた少年の存在がこの作品のすべてだ。彼が繰り出す技の数々とCG・ワイヤーアクションの融合、小学校から高層ビルを舞台にした悪の組織との戦いは、明らかに子供がターゲットで物語は他愛ない。それでもこの少年の余りにも一途に前を見据える力強い視線は、思わずスクリーンに目が釘付けになるほどの引力がある。


少林寺36房のうち35房までを制した天才少年・カンフーは、最後の相手は日本にいると師匠に教えられ、単身来日。さっそく中華料理店のイズミというオバサンに拾われ、孫ののレイコと仲良くなる。そんな時、日本支配を企むクロモンベがレイコの通う小学校に乗り込んでくる。


プロローグ、カンフー少年が少林寺における修行の一貫として、次々を大人を相手に目にも留まらぬ速さの突きや蹴りを繰り出すさまはジャッキー・チェン風。拳や脚の闘いだけでなく、剣や槍に対しても相手の攻撃を上体の動きだけで見切り反撃するのは伝統的なカンフーアクションを踏襲している。根本的な体の柔らかさに加え、驚異的なジャンプ力とスピード、映画的なスタントをこなすカンのよさは将来が非常に楽しみだ。そしてただ強いだけでなく、なぜ闘うか、何のために闘うかを問うなど、精神的な成長もきちんと描き、子供の観客を意識して丁寧に作られている。


いくら小さいからといっても、矢口真理が小学生に扮しているのには痛々しさを感じたが、彼女の正体が明かされることで納得。後で考えると妙にマッチしたキャスティングだった。また、武田真治扮する謎の拳法家や佐田真由美扮する黒ずくめの美女などキャラクターも多彩。しかし、泉ピン子にはやはり激しい動きはできるはずもなく、彼女だけは代役を使っているのがミエミエ。別に太極拳の達人にしなくても、中華料理で鍛えた技で敵を倒してもよかったはずだ。。。


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