こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

2020-04-01から1ヶ月間の記事一覧

追龍

受けた恩義は必ず返す。たとえ我が身を危険にさらしても、男としては当然の行動。物語は1960年代香港、若くして固い友情に結ばれた男たちの熱い生き方を描く。面倒見の良さとケンカの強さで頭角を現したチンピラと昇進のために彼を利用するエリート警察官、…

アンナ・カリーナ 君はおぼえているかい

夢にまでに見た花の都、そこでの出会いが彼女の運命を決定づけた。ファッション界のアイコンとヌーヴェルバーグの旗手、2人は彼女の中に洗練と真実を見出し、その可能性を引き出すメンターとなる。映画は、1960年代フランス映画界のミューズとなった女優の半…

パヴァロッティ 太陽のテノール

鼓膜を震わせる高音で朗々と歌い上げる圧倒的な声量と繊細なテクニック、一度聞いただけで脳天を直撃しハートを鷲掴みにする。声楽をオペラファンだけのものではなく、ポップスと融合させて広めた実績は、まさに伝説と呼ぶにふさわしい。映画は、ルチアーノ…

ジャズ喫茶ベイシー

生演奏ではなくレコードを客に聞かせる。そのためにはスピーカー、アンプ、ターンテーブル、針に徹底的にこだわり、客席での私語は厳禁。ライブとはまた違った魅力を音楽から引き出している。カメラは東北の小都市に店を構えるジャズ喫茶のオーナーに密着、…

暗数殺人

巧妙に紡がれた嘘の中に知られていない事実が含まれている。そのにおいを直感的にかぎ分けた刑事は真実を求めるあまり泥沼に足を取られていく。物語は、殺人事件犯人が他の殺人を告白、刑事が再捜査のするうちに犯人に翻弄されていく姿を描く。7人殺したのは…

囚われた国家

人々はみな首にチップを埋め込まれ、当局によって監視・管理下にある。危険人物は有無を言わさず排除され、立ち入り禁止エリアに侵入した者は殺される。物語は、異星人によって征服された近未来の地球、自由と解放を求めてレジスタンス運動に身を投じた若者…

わたしはダフネ

心に浮かんだことをそのまま口にしてしまう。相手への忖度はできない。感情を制御できず、時に周囲に当たり散らしてしまう。誰に対してもちょっと高飛車。でも、職場にもひとりで行けるし仕事も一人前にこなしている。物語は、ダウン症の娘と彼女の父のふた…

アドリフト 41日間の漂流

大波に呑まれて転覆した。マストは折れ、通信機器も壊れた。婚約者も消えた。残されたのはわずかな食料と水、そして幸せだった記憶。物語は、大海原をヨットで航海中に遭難した女のサバイバルを描く。南の島で出会いずっと一緒に行動してきた彼は、ヨットの…

サーホー

謎が疑惑を呼び、アクションが暴力を加速させていく。だれが悪党でだれが善人なのか、裏切りと欺瞞が渦巻くなか、主人公は超然と振舞い圧倒的な強さで立ちはだかる敵をなぎ倒していく。物語は、巨大犯罪組織の後継者争いを背景に、大掛かりな窃盗団が暗躍し…

21世紀の資本

ベルリンの壁崩壊で自由世界の勝利が確定づけられた。資本主義の未来も明るいものだった。だが、過当競争は新たな格差の原因となり、いまや革命前の欧州に似た一部の富裕層と大多数の貧困層に分断された社会になっている。映画は、ベストセラーになった経済…

世界でいちばん貧しい大統領 愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ

米国大統領との面談でもローマ教皇との謁見でもノーネクタイ、愛車はクラシカルなビートル、小さなアパートに妻と愛犬、農場のトラクターも自分で運転する。およそ国家の指導者とは思えない質素な暮らしを彼は実践する。カメラは、国民のために自己犠牲を厭…