ヘルライド HELLRIDE
ポイント ★★
DATE 08/12/1
THEATER 映画美学校
監督 ラリー・ビショップ
ナンバー 292
出演 ラリー・ビショップ/マイケル・マドセン/ エリック・バルフォー/デニス・ホッパー
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています
大排気量・チョッパーハンドルのハーレーにまたがった暴走族風の男たち。酒と女と暴力を生きがいにスロットルをふかす。彼らが荒野の道を走る目的は何なのか、どうやって生計を立てているのか、そういった生活臭は一切排除して、ただ男の体臭が感じられるような映像に終始する。そこに感じられるのはマカロニウエスタンへの強烈な憧憬。サボテンだらけの砂漠とうらぶれた酒場、そしてはるかな時を経た復讐は容赦なく敵を殺し、床や天井に血しぶきを撒き散らす。だがキャラクターがあまりにも単純で、これでは現代の観客を納得させることはできない。
バイク乗りグループ・ヴィクターズのリーダー・ピストレロは仲間のジェント、コマンチとともに敵対するシックスシックスシックスのメンバーを襲う。その後、裏切った部下を粛清したあと、エディというOBの助力の元、シックスシックスシックスのボス・ビリーをおびき出す。
バイクの一団が隊列を組んで轟音を響かせながら疾走するシーンは壮観。しかし、そのスピードやパワーを生かしたり、アクロバティックな走行を見せるわけではないので物足りなさを感じる。また、登場人物がみな同じように薄汚く荒くれているのでなかなか見分けが付かない。一応、名前が紹介されるのだが、デニス・ホッパーやデヴィッド・キャラダイン以外はあまり有名ではない俳優が演じるために、人間関係を理解するのに少し時間がかかった。もっと分りやすく整理すべきだろう。
コマンチが、殺された母親の仇を討つというのが物語の大筋なのだが、ここでも過去と現在を混在させ無理やり複雑にするような編集方法が取られているために途中まで非常に分りづらかった。その割に伏線となるようなシーンもなく、シンプルなストーリーを小難しく見せているだけだ。映画の原点にもどり、開き直ってダイナミックなアクションやバイオレンスに徹するくらいの心構えで作って欲しかった。