こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船

otello2011-11-02

三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船
THE THREE MUSKETEERS

ポイント ★★★*
監督 ポール・W・S・アンダーソン
出演 ローガン・ラーマン/オーランド・ブルーム/ミラ・ジョヴォヴィッチ/クリストフ・ヴァルツ/レイ・スティーヴンソン/マシュー・マクファディン/マッツ・ミケルセン/ジュノー・テンプル/ルーク・エヴァンス
ナンバー 260
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


運河の水中に潜み、高い橋の上からジャンプし、壁に繋がれた鎖を引きちぎる。そして地下に隠された通路で待ち受ける罠。アイデア満載の仕掛けと小道具がCGと見事に融合した視覚効果は大いに目を楽しませてくれる。物語はヒーローに憧れる若者が、かつてヒーローだった男たちの心に再び火を付け、壮大な陰謀に立ち向かう旅を描く。特に、4人対40人の大殺陣は、日本のTV時代劇のように大勢の悪党の手下をバッサバッサ斬り捨てる痛快感にあふれ、広場にある小物や建物を利用して立体的に動きを見せる場面は息をのむアクションの連続。久しぶりに血沸き肉躍る“本格冒険大活劇“を見た気になった。


アトス、アラミス、ポルトスの元銃士たちは、ダ・ヴィンチの飛行船設計図を英国のバッキンガム公爵に奪われ落ちぶれている。そんな彼らに銃士になるのが夢のダルタニアンが合流、女スパイ・ミレディに盗まれた王妃の首飾りを奪還するためにロンドンに向かう。


荘厳なフランス王の宮殿、シンプルだが野心を隠さないリシュリューの執務室、ミレディや王妃・侍女がまとうゴージャスなドレスなど、あらゆるディテールに血が通っている上、巨大な気球で吊りあげた軍用飛行船同士の空中戦に至っては、大砲の弾が飛び交う重量級の戦闘シーンに仕上がっている。しかも荒唐無稽の中にも人間の思いが複雑に交錯するドラマとしても見ごたえがあった。


◆以下 結末に触れています◆


バッキンガム公爵から飛行船を奪い、ミレディから首飾りを取り戻したアトスたちは、リシュリューの腹心・ロシュフォールの飛行船から奇襲を浴び窮地に陥る。そこでも功名心にはやる恐れ知らずのダルタニアンが大活躍、結局大勝利を得るだけでなく、必死で口説いていた侍女のハートも射止める。サービス満点の展開、恋も友情も闘いもちりばめられた見どころたっぷりの21世紀の三銃士は、3Dという表現技術を得て新たな命を吹き込まれていた。ミレディがあっさり自決したと思わせておいて、やっぱり二重スパイらしいオチになっているのは、続編への布石なのだろう。。。