コードネーム:ジャッカル
監督 ペ・ヒョンジュン
出演 キム・ジェジュン/ソン・ジヒョ/オ・ダルス/ハン・サンジン/キム・ソンリョン
ナンバー 55
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています
殺し屋かストーカーか、正体不明の女はひたすらアイドル歌手をいたぶり死へと追い込んでいく。しかし彼女の心には歌手に対する思いとある秘密があった……。映画は、小さなホテルの部屋で繰り広げられる男と女の虚々実々の駆け引きと、殺し屋を追う刑事たちとホテル支配人の珍問答を絡ませ全編コミカルなテイストのミステリーに仕上がっている。囚われの身になるスターにJYJジェジュンが扮し、端整な顔を目まぐるしく変化させて危機を切り抜けようとする表情のギャップはファンにはたまらない魅力と映るに違いない。
伝説の殺し屋・ジャッカルが最後に選んだ仕事はスター歌手・ヒョンの暗殺。情報をつかんだ警察はヒョンが愛人との密会のためにチェックインしたホテルを張り込む。だがヒョンは謎の女・ミンジョンに緊縛され身動きが取れない。
ヒョンの部屋には刑事が押し入ったりストーカーやマネージャーらが乱入するが、ミンジョンは機転を利かせてヒョンを監禁していることを巧みにごまかす。一方で、ジャッカル逮捕に執念を燃やす刑事は地元刑事とそりが合わず、おまけにホテル支配人の非協力的な態度に苦しめられる。その過程で、ヒョンはクラブ歌手上がり、ミンジョンは極貧生活体験者、女好きの地元刑事も実は人情家といった具合に、頓珍漢なやり取りの中で、登場人物の素顔が垣間見えてくる。普段他人には見せないであろう一面が、事件という非日常の中で露わになっていく構成が彼らのキャラクターに深みを持たせていた。
◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆
やがて、ヒョンの愛人が現れてミンジョンとひと悶着あったり、投げナイフを使う殺し屋が警察の包囲網をかく乱したりと物語はクライマックスに突入する。ジャッカルはいったい何者なのか、そしてジャッカルの本当のターゲットは誰なのか、混沌に包まれたホテルの中は大騒ぎ。ところが、そこに至るまでの俳優たちの演技がきわめてテレビ的な大げさなものに終始し、しつこさとくどさはコメディとしての洗練には遠いものとなっていた。
オススメ度 ★★