こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

バレット

otello2013-06-04

バレット BULLET TO THE HEAD

監督 ウォルター・ヒル
出演 シルヴェスター・スタローン/サン・カン/サラ・シャヒ/アドウェール・アキノエ=アグバエ/クリスチャン・スレイター/ジェイソン・モモア
ナンバー 134
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

もはや70歳に手が届こうとしているのに、いまだ成長を続けるスタローンの肉体。肌のつやこそ衰えているが、皮膚のたるみを引き伸ばし若々しさを醸し出す。血管が異様に浮き上がった筋肉は人工的な栄養摂取がうかがえるが、日常の鍛錬と節制のたまものには変わりない。「エクスペンタブルズ」シリーズでは出し惜しみしていた腹回りも今回は堂々と見せ腹筋の割れ目を披露する。このすさまじいまでにシンプルな肉体信仰こそ、彼の俳優としての生き方。映画は、ある陰謀に嵌められた殺し屋が、刑事と協力しながら組織の壊滅を図りつつ、ライバルの殺し屋と決着をつけるまでを描く。男と男、力と力。ウォルター・ヒル監督はスタローンの本能を見事に引き出すことに成功している。

汚職刑事を暗殺した殺し屋・ジミーは、口封じのために組織が放った殺し屋・キーガンに相棒を殺され自らも襲われる。一方、汚職事件を捜査する刑事・テイラーはジミーに情報提供を求め、利害が一致したジミーとテイラーは手を組む。

人脈を頼りに情報を集めるジミーと電話一本でデータベースにアクセスするテイラー。親子ほど年齢が違う2人だが、ジミーの圧倒的な洞察力と用心深さそして腕前にIT世代のテイラーは子ども扱い。刑事としてあくまで法を守ろうとするテイラーに対し、ジミーは危険を察したらすぐに反応し躊躇なく引き金を引く。修羅場を数十年かいくぐってきた経験の差が生死の境を分け、キーガン率いる傭兵隊に追われつつも2人は真相に近づいていく。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

“カネになびかないヤツは信用しない”と評されたキーガンはその言葉通り、部下の復讐を最優先させる。しかも、ジミーの実力を認め、1対1のタイマン勝負を挑む。その「ストリート・オブ・ファイア」を思わせるクライマックスに胸が高鳴った。なのにテイラーが邪魔をする。なんで2人だけで決着がつくまで戦わせないのだ! 思わず若造は引っ込んでいろと叫んでしまった、心の中でだが。。。

オススメ度 ★★★

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