こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

トランスフォーマー/ロストエイジ

otello2014-07-21

トランスフォーマー/ロストエイジ TRANSFORMERS:AGE OF EXTINCTION

監督 マイケル・ベイ
出演 マーク・ウォールバーグ/ニコラ・ペルツ/ジャック・レイナー/スタンリー・トゥッチ/ソフィア・マイルズ
ナンバー 167
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

太ももを見せる短パンはNG、家事はきちんとこなす、もちろんデートは厳禁。テキサスのド田舎とはいえ、信心深いとは思えないシングルファーザーが、異常なほど一人娘にも自分に性的なものや行為を禁じる姿は、男性的な者しかいない金属生命体の世界に通じる。仲間との友情は己の価値を高めるが、恋愛沙汰は堕落をもたらすのみ。体力的に劣る女性はあくまで守る対象であって一緒に戦う同志ではない。映画はそんなマッチョ信仰に拍車をかけ、大迫力の戦闘シーンが観客を思考停止に追い込んでいく。人間もトランスフォーマーも敵味方入り乱れ破壊の限りを尽くす映像の連続は、何が起きているのか把握するのも難しいほどの圧倒的な情報量で、2時間45分という上映時間が瞬く間に過ぎていく。

自称発明家のケイドは古びたトラックに偽装していたオプティマスを買い取る。しかしCIAの急襲を受けたことからオプティマスと共闘、ロボット企業による人工トランスフォーマー製造計画を突き止める。

オプティマスがオートボットたちとともにデスバレーを疾走する。雄々しきトレーラー、直線的なトラック、スパルタンなスポーツカーetc、その雄姿は米国の自動車産業そのものだ。科学者の手によって再生したガルヴァトロンや宇宙船を操るロックダウンといった新キャラも、“力こそ正義”とばかりにパワーを誇示する。それは“強い米国”の復活を願っているかのよう。だが、その過程で中国人が絡んでくるあたりが、今や中国の意向抜きでは国際社会の秩序を維持できなくなった米国のジレンマを象徴していた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがて香港を舞台にオートボットと新生ディセプティコン軍団が激突、さらに恐竜にトランスフォームするダイナボットまでが参戦、ケイドも科学者やCIAの殺し屋を相手に獅子奮迅の活躍を見せる。そこには一応善悪の区別はあるものの、脆弱な足場の上に立っているに過ぎず、オプティマスやロックダウンよりも上位階層の存在も明らかになり、もはや物語は混沌を極める。主要キャラの相関関係だけでも頭に入れてから鑑賞に臨むべきだろう。。。

オススメ度 ★★★

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