こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ルパン三世

otello2014-09-03

ルパン三世

監督 北村龍平
出演 小栗旬/玉山鉄二/綾野剛/黒木メイサ/浅野忠信/ジェリー・イェン
ナンバー 203
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

惚れた女のためには命がけ。利用され騙されても“裏切りは女のアクセサリー”と意に介さず、むしろその仕打ちを楽しんでいるかのよう。それは、最後には彼女から自分を頼ってくるのがわかっているから。男としての絶対の自信が主人公をスタイリッシュたらしめるのだ。加えて、洗練された格闘術と銃器の扱い、さらに変人ながらクールで腕の立つおなじみのメンバーが魅力的だ。映画はそれら原作・アニメのキャラクターをそのまま受け継ぎ、現代によみがえらせる。しかし、男のヤセ我慢などという美学は絶えて久しく、結局、アニメを知る世代は違和感を覚え、アニメを知らない世代には物足りなく映っただろう。なんとも中途半端な映画だった。

目の前で恩師が持つクレオパトラの秘宝が盗まれたルパンは、次元、五右衛門、不二子といった仲間を集め、世界最高レベルの堅牢な金庫に納められた秘宝の奪還を計画する。そして制御システムの穴を見つけ、ジャングルの奥にある金庫に向かう。

確かにちょっとした笑みの作り方や手足の動かし方、話し方など、小栗旬はアニメのルパンをよく研究している。玉山哲治の次元も綾野剛の五右衛門も浅野忠信の銭形も、それぞれの表情の特徴や所作の癖などのディテールまで再現しているとは思う。だがアニメの中だからこそ生きるのであって、実写映像の中ではうまく消化しきれていない。その上、アクションも新鮮味に乏しく銃器弾薬を派手にぶっ放すだけのアイデアのなさ。どうせならコメディタッチに振るくらいの思い切った演出をしてもよかったのではないか。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

物語は、2大窃盗グループの覇権争いにルパンが巻き込まれる形になるのだが、その間に不二子を通じて宿命のライバル・マイケルが登場し、のちに彼と協力関係になるなど、人物相関図がやたら複雑で整理しきれておらず。テンポも悪い。外国人俳優も使い、大がかりな海外ロケまでしているのに、雑な印象ばかりが残る作品だった。

オススメ度 ★*

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