こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

アーサー・クリスマスの大冒険

otello2011-11-26

アーサー・クリスマスの大冒険 ARTHUR CHRISTMAS


ポイント ★★★
監督 バリー・クック/サラ・スミス
出演
ナンバー 279
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


夜空を覆い尽くす巨大なステルス機から数百人のレンジャー隊員が街に降下、窓や煙突から民家に忍びこんでロックを解除して、子供たちが寝静まった部屋にプレゼントを置いて誰にも見つからずに撤収する。戦争映画とスパイアクションを融合したスタイルのプレゼント配布大作戦は、圧倒的なスリルとスピード感で見る者の目を引き付けて離さない。映画は、クリスマスイブの夜、世界中の子供たちの願いを叶えるサンタクロース一家と妖精たちの奮闘ぶりから、ブランドイメージを守る大切さを説く。些細なミスも疎かにせずきちんとケアする、それがサンタクロースを名乗る者の責務なのだ。


サンタクロースとその長男・スティーブはプレゼントの配達を終えるが、一人の少女に渡し忘れてしまう。スティーブは許容範囲と再配達を嫌がるが弟のアーサーはおじいサンタとともに古いそりとトナカイでプレゼントを届けに行く。


もはやサンタの仕事も効率を競う時代、大胆な機械化とIT化で作業能率は大幅アップしている。だが、スティーブには少女の気持ちに対する配慮はなく、ただ時間内に業務を終えることが目的になっている。一方、サンタクロースの一族として何一つ満足にできないアーサーは子供たちへの思いだけはだれよりも強く、少女の夢を壊すのは断固拒否。そんな彼の決意が冒険の旅に駆り立てる。


◆以下 結末に触れています◆


アーサーはおじいサンタとラッピング妖精とともに少女の家に向かうが、地図は古くGPSも当てにならない。さらにUFOと間違われて戦闘機に追いかけられたりする。その過程はスリリングかつファンタジックで、あらゆるディテールがヴィヴィッドで3Dとの相乗効果を上げている。“CGによってアニメは飛躍的に表現力をつけたが手書きアニメの頃のぬくもりを伝える魂を忘れたわけではない”。映画製作者自身が、プレゼントを直接デリバリーするアーサーの活躍と最終的にはアーサーに協力するスティーブの姿を通じて、そう宣言しているように思えた。


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