こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

テッド

otello2012-12-22

テッド TED

監督 セス・マクファーレン
出演 マーク・ウォールバーグ/ミラ・クニス/セス・マクファーレン
ナンバー 313
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

奇跡が起きて願いが叶った少年は、その後どうなるのだろう。確かに孤独は癒された、思い出もいっぱいできた、だが、永遠の友情を誓ったが故にいつまでも子供時代を卒業できず、そのまま大人になってしまう。映画は、人格を持ったテディベアのぬいぐるみが相棒という男が、キュートな恋人との間で二者択一を迫られる姿を描く。テディベアと過ごしてきた楽しい暮らしを今更捨てられないが、彼女にも運命を感じている。お祭り騒ぎを続けるべきか現実を直視すべきか、主人公は自身の生き方を問われていく。彼の悩みの原因になる、粗野で下品極まりないがどこか憎めないテディベアのキャラクターに大いに腹を抱えた。マイナー映画のトリビアにもつい共感してしまう。

いじめられっ子のジョンがクリスマスにプレゼントされたぬいぐるみ・テッドに魔法が掛かり、テッドは人間のように動き話し始める。彼らは無二の親友になる一方、テッドは一躍有名になる。時は流れ35歳になったジョンはロリーと同棲中だが、テッドともつるんでいた。

ダメ男ながらなんとか社会生活を送ろうとするジョン。テッドはいつも彼の足を引っ張っている。仕事を途中でさぼったりデートをすっぽかしたりで、ロリーとの仲もギクシャクし始める。一応世の中のルールや常識に縛られているジョンに対し、テッドはまったくその範疇外。思いのまま自由に振る舞うテッドはジョンの深層に潜む抑圧された本音であり、ふたりは表裏一体なのだ。アクション映画並みのリアルにこだわった大げんかのシーンは、それゆえジョンの葛藤の深さを象徴していた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ジョンだけではない、ロリーの上司も高校時代の栄光にすがり、サム・ジョーンズフラッシュ・ゴードンであり続ける。一番充実していたころの気持ちを忘れず、己をさらけ出していくのは実際には困難だけれど、やっぱり我慢ばかりしていても人生はつまらない。決しておとぎ話のようにロマンティックではない、それでも、テッドに見せてもらった夢は、自分らしく生きるとはどういうことかを教えてくれる。。。

オススメ度 ★★★★

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