こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

体脂肪計タニタの社員食堂

otello2013-03-09

体脂肪計タニタの社員食堂

監督 李闘士男
出演 優香/浜野謙太/宮崎吐夢/小林きな子/草野イニ/草刈正雄
ナンバー 57
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

何をやっても長続きせず問題が起きるとすぐに逃げ出してしまう。できなかったことを他人のせいにするか、“しかたがなかった”で済まそうとする。暑苦しいうえに場所をとるウザい存在なのに己を甘やかしてばかり、そんな情けない人間の象徴のごときデブたち。物語は健康器具メーカーに勤務する4人のデブが、健康的なダイエットに挑戦する過程を追う。絶え間なく襲い掛かる食欲を抑えきれず、気がつくと食べ物を口に運び、自己弁護を重ねる。まるで麻薬やアルコールの中毒患者のような彼らの身勝手な言い訳と行動を浮き彫りにして、肥満は心の病気であると訴える。

体脂肪計タニタの副社長・幸之助は新製品のプロモーションのリーダーに指名され、自分を含む社員4人が体脂肪率を落とす経過をリポートする企画が通る。幸之助は旧知の栄養士・菜々子を社員食堂にスカウト、社員の食生活の管理を任せる。

ボリュームがあっておいしくて見た目もきれいけれど低カロリーの定食を菜々子は次々に開発、4人のデブ以外の社員にも好評を得る。だがデブたちは脂分や糖分の誘惑を断ち切れず、つい仲間の目を盗んで“禁止食物”に手を出してしまう。一社員である3人はまだしも、次期社長の重責を担う幸之助まで我慢しきれずに挫折してしまうのだ。映画は登場人物の“頑張っている姿”を見せるより、これでもかとデブたちの意志の弱さを強調し、彼らがいかにダメ人間であるかを描きこむ。太っているのはすべて本人のせい、コミカルな中にも決してデブに同情を寄せず突き放した姿勢を貫く展開が小気味よい。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

デブたちは菜々子の期待を裏切り続けた挙句、ついにあきらめてヤケ食いに走ろうとする。それでも幸之助は菜々子と社員のヘルシーメニューへの思いを知って、やっと経営者としての自覚を持つ。ただ、やせるという目標を達成するだけでなく、一人前の男としてすべき仕事をする、その責任感を身に着けるまでの幸之助の成長も楽しかった。

オススメ度 ★★★

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