アバウト・タイム 愛おしい時間について About Time
監督 リチャード・カーティス
出演 ドーナル・グリーソン/レイチェル・マクアダムス/ビル・ナイ/トム・ホランダー/マーゴット・ロビー
ナンバー 139
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています
あの日あの時を上書きできたら…。しなかったことをして、言えなかった言葉をかける。その結果、戻ってきた現在が思い通りになっていても、幸せとは限らない。生きるために必要なものは何か、運命に手を加えれば正解は得られるのか。物語はタイムトラベル能力を受け継いだ青年が、真実を求めて彷徨する姿を描く。時間は遡れても老いや死からは逃れられない、だが記憶は蓄積できるという特性を読書に生かした主人公の父の含蓄が、自分の器以上の成功を望んでも結局は不幸になるだけだと教えてくれる。周りの人間に気を配り、たとえ辛い出来事や悲しい事件でも起こった現実は受け入れる、それらの経験も含めて人生なのだ。
21歳になったティムは父からタイムトラベルのルールを教わり、さっそく失恋を挽回しようとするが他人の気持ちにまで影響は及ぼさないと悟る。そして、ロンドンで働き始めたティムはメアリーと恋に落ちる。
ところが、知人の窮地を救うために過去をいじったせいで、メアリーとの出会いも修正されている。やっと見つけたメアリーは当然ティムを認識できない。彼女と過ごすはずの未来を回復させるためにティムは奮闘する。このあたり、小さなきっかけでメアリーのハートを射止め、その後もふたりはラブラブ生活を送るが、ティムはより良き未来のヒントは過去にあると知る。人との関わり方や物事の感じ方に敏感になり、この一瞬を大切にすべきと学んでいくのだ。
◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆
やがてティムはメアリーと結婚し子供にも恵まれるが、妹の事故をきっかけにタイムトラベルには超えられない一線があると父に告げられる。さらにいくら愛する相手でも必ず別れの時がやってきて、それは彼らでも避けられない。こんな能力など使わないほうがよいに決まっている、だからこそ日々思いやりを忘れず精いっぱいの行動を心がける。後悔してもやり直しのきくティムですら、やっぱり後悔する。それでも、後悔するからこそ人は日々懸命に生きなければならないとティムの背中が語っていた。
オススメ度 ★★★*