こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ブライトバーン 恐怖の拡散者

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利発で素直だったひとり息子の言葉遣いが突然乱暴になり、態度が暴力的になる。単なる反抗期なのか別に原因があるのか。物語は、思春期を迎えた養子の異変に気付いた両親が彼の暴走を防ごうと奮闘する姿を追う。息子が普通でないと初めから知っていた。だが、自分たちで赤ちゃんの時から育てた彼は善良だと思いたい。一方で息子の蛮行はエスカレートしもはや両親の手に負えなくなる。回転する鋼の刃を指で止め、空中を自在に移動し、目からは高エネルギー波を発する。ほとんどスーパーマンと似た生い立ちとパワーを持ちながら、脳内に響く “世界を奪え” と言う囁きに本能を覚醒させる過程は、B級ホラータッチの演出でサスペンスを盛り上げ、他のエイリアンものとは一味違う斬新な映像に仕上がっていた。

妊活中のカイルとトーリ夫婦の農場近くに隕石が落下。彼らはそこで見つけた赤ちゃんにブランドンと名付け深く愛していたが、12歳の誕生日にブランドンの言動が激変する。

心配したカイルはブランドンをキャンプに連れ出し、多感な年ごろの少年の気持ちに理解を示すが、曲解したブランドンはクラスメイトのケイトの部屋に押し掛け彼女に不気味がられる。さらにケイトに嫌われたブランドンが仕返しをして学校で問題になる。その後も障害は力ずくで排除しようとするブランドン。精神的に未熟な者が思いがけない力を手にし、そしてそれを悪用しようとする者が背中を押すとどういう事態に陥るのか。最後までブランドンを信じようとするトーリの、母親としての感情が切なくももどかしかった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ブランドンはケイトの母親を始末し、彼の行動を監視する叔父にも制裁を下す。自分たちで決着をつけるしかないと決心したカイルとトーリは悲しい決断をしなければならない。まだほんの少しだけ両親に対してだけは情を持っていたブランドンが、すべての人間らしい良心を捨て去る瞬間がおぞましかった。巨大な悪意の前では愛は無力、ブランドンの狼藉は人類の思い上がりへの鉄槌のようだった。

監督  デビッド・ヤロベスキー
出演  エリザベス・バンクス/デビッド・デンマン/ジャクソン・A・ダン/マット・ジョーンズ/メレディス・ハグナー
ナンバー  274
オススメ度  ★★*


↓公式サイト↓
https://www.rakuten-movie.co.jp/brightburn/