僕のニューヨークライフ ANYTHING ELSE
ポイント ★*
DATE 06/1/24
THEATER 恵比寿ガーデンシネマ
監督 ウディ・アレン
ナンバー 13
出演 ジェーソン・ビッグス/クリスティーナ・リッチ/ダニー・デビート/ストッカード・チャニング
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています
わがまま女の口から絶え間なく飛び出す自己中心的な言い訳と、彼女に振り回される男の愚痴。まるで沈黙を恐れるかのような無意味な会話の洪水は、聞くに堪えない幼稚な言葉のキャッチボールに過ぎない。そこにはユーモアもウイットもなくただ退屈な時間がうんざりと横たわる。いったいウディ・アレンはどうしたのだろうか。
喜劇作家のジェリーは教師のドーベルと年齢を超えた友情を育んでいる。恋人のアマンダとのセックスレス生活についてドーベルに話すと、アマンダが浮気をいていると指摘される。アマンダを尾行したジェリーは彼女の浮気を突き止めるが、彼女の言い訳にいつの間にか反論できなくなる。
映画の持つリズムも色調もニューヨークを舞台に繰り広げられるライトなコメディタッチも、いつものアレン調を踏襲している。なのになぜこの作品はこうもノリが悪いのだろう。それはやはりクリスティーナ・リッチふんするアマンダというキャラクターが原因だ。自己弁護に明け暮れ、非常識なことも平気でする。そこには邪心がないだけに手に負えない。さらに同じキャラの母親まで登場させ、主人公の生活をかき回す。女によって人生を狂わされる哀れな男たちという構図は理解できるのだが、この作品で描かれる女たちはそんなわがままが許されるほど魅力的ではないのだ。
ジェリーが時々観客に向かって話しかけるという古臭い手法も不要だろう。こんなシーンを入れないと観客の共感を得られないほど、やはりストーリー自体に問題があるということだろう。脚本はカラまわり、俳優もイマイチ、アップになったアレンの顔に浮き出るシミと切れ味のないせりふが、アレンの老いを如実に物語っていた。