デトネーター THE DETONATOR
ポイント ★*
DATE 06/9/5
THEATER ソニー
監督 レオン・ポーチ
ナンバー 146
出演 ウェズリースナイプス/シツヴィア・コロカ//
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています
銃撃戦、格闘、破壊、爆発、カーチェイス。アクション映画の要素がてんこ盛りなのに、どのシーンをとてもアイデアに乏しく詰めが甘い。主人公を演じるウェズリー・スナイプスにも躍動感や疾走感が乏しく、肉体派なのに肉体を駆使しているという実感に乏しい。50歳をすぎたジャッキー・チェンでももう少し動き回っているというのに、まだ40代前半のスナイプスはもっと走ったり跳んだり格闘したりできるだろう。
特殊工作員のグリフは武器密売組織摘発のためにルーマニアのブカレストに飛ぶが、密売人との接触に失敗、警察に拘束される。釈放の条件にナディアという女をNYまで護送する任務を受けるが、ナディアが持っている大金を狙って密売組織が2人を襲う。
この手のB級映画は善悪の区別をはっきりさせたほうが主人公の大活躍から得られるカタルシスも大きいはず。しかし、グリフの味方であるはずのCIA内に通報者がいたり、グリフに助けられているはずのナディアが態度を翻したり。グリフの立場と組織のボスだけははっきりとした足場の上に立っているのに、その周りの人間、特にCIAに裏切り者がいるなどという設定はいたずらに物語を複雑にしているだけ。その複雑さがミステリーの様相を持っているのならともかく、そこまで気の利いた伏線もなく、ただ主人公を遠回りさせているだけの効果しかあげていない。
おそらく経費が安いというだけでルーマニアをロケ地に選んだのだろう。しかし、その浮いた制作費でもう少し脚本を練り直し、アクションのアイデアに投資ずるべきだろう。せめてワンシーンだけでも強烈な印象を残すアクションがあればそれ以上は望まない。低予算で映画を作ることに苦労しているのだろうが、それでも何かひとつぐらい観客をアッといわせようとするのがクリエイターの矜持ではないだろうか。