バトルフロント HOMEFRONT
監督 ゲイリー・フレダー
出演 ジェイソン・ステイサム/ジェームズ・フランコ/ウィノナ・ライダー/ケイト・ボスワース/ラシェル・ルフェーブル/フランク・グリロ/イザベラ・ヴィドヴィッチ
ナンバー 186
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています
バイクにまたがって場末のクラブに現れた薄汚いふさふさロン毛の男。麻薬密売組織のボスが全幅の信頼を置く子分を演じるジェイソン・ステイサムはどこかもの哀しげで、悪党とはいえ自分を信じていたボスを欺かなければならない潜入捜査官の宿命を、トレードマークのハゲ頭を隠して控えめに表現していた。物語は娘と2人で新生活を始めた主人公が、田舎町の閉鎖的な人間関係に馴染めずモンスターペアレンツと衝突するうちに、封印した過去に直面する姿を描く。喧嘩早いゴロツキや銃をぶっ放す犯罪者よりも、わが子の非を一切認めず金切り声で喚き散らすバカ母役のケイト・ボスワースが一番怖かった。
引退したフィルは、娘のマディがいじめっ子をぶちのめしたことから、その子の母親・キャシーと険悪になる。キャシーは街の裏社会を仕切る兄・ゲイターに報復を依頼、ゲイターはフィル宅に侵入し履歴書を盗む。
ドラッグを密売する若造の足をへし折るくらいは平気なゲイターでも、4人のチンピラを差し向けてもあっさり返り討ちにするフィルと正面から対峙する根性はない。フィルにつぶされたバイカー組織にフィルの居場所を教え、彼らの手を借りて仕返ししようとする。その過程で馴染みの娼婦・シェリルを交渉役に使うが、彼女もあまり頭が良いとは言えず、逆にバイカーに主導権を握られてしまう。本来フィルの敵となるべきゲイターとシェリルが意外と腰が引けた小物で、犯罪を生業にするにはそれなりの覚悟が必要であると教えてくれる。
◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆
やがてバイカーたちがフィルの自宅を襲うが洗練されたプロの技を持つフィルに敵うはずもなく、一人また一人と狩られていく。マディの手前抑制していた暴力の本能を、ここぞとばかりに解放するフィルの、生き生きした動きが印象的だ。だが肝心のアクションはアイデアに乏しく見どころは少ない。どうせなら和解などせず、フィルとキャシーを最期まで戦わせてほしかった。。。
オススメ度 ★★*