こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

マリリン 7日間の恋

otello2012-03-26

マリリン 7日間の恋 MY WEEK WITH MARILYN

ポイント ★★*
監督 サイモン・カーティス
出演 ミシェル・ウィリアムズ/ケネス・ブラナー/エディ・レッドメイン/ジュリア・オーモンド/エマ・ワトソン/ジュディ・デンチ
ナンバー 72
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

ハリウッドの主流になりつつあったメソッド演技にいらだちを抑えきれないロンドンの伝統。それは英国と米国、娯楽と芸術、形式と自由、保守と革新といった対立項を象徴する。そんな、米国のセックスシンボルと英国の世界的名優のかみ合わない演技・演出論の違いが興味をそそる。物語は、制作スタッフの青年の目で見た映画撮影現場の現実とスターの孤独を再現する。キャラクターの喜怒哀楽を追及する演技法がいかに女優の心を追い込んでいくか、そしてファンの前で見せる魅力的な笑顔の裏には言い知れぬ苦悩が隠されていたか。彼だけが知っていた真実のマリリン・モンローの姿を映像によみがえらせる。

ローレンス・オリヴィエの事務所に押し掛け就職したコリンは、彼の新作の雑用係に雇われる。共演者のマリリン・モンローが撮影に合流するが、まったく手順を無視した振る舞いにオリヴィエは怒り心頭、コリンはマリリンの見張り役を命じられる。

マリリンの演技指導者はいちいちリハーサルに口を挟み、マリリンもなかなかスタジオに現れない。気持ちが入らないとか状況が理解できないなどの理由で、オリヴィエは彼女をコントロールできず、彼我の文化の相違に我慢の限界を迎える場面が印象的。それでも現像されたフィルムには、マリリンはオリヴィエが期待した以上の完成度でスクリーンに映えている。感情のリアリティこそが映画をアートたらしめることを証明されたオリヴィエの表情が、映画に対する演劇の敗北を認めているようだった。

◆以下 結末に触れています◆

一方マリリンに気に入られたコリンは彼女と休日を過ごし、誰にも見せなかった彼女の素顔を垣間見ていく。だが、ウインザー城ドールハウスに目を輝かせたり大学で学生たちに愛嬌をふりまくシーンはまだしも第三者の目があるが、林の奥の湖で全裸で泳いでコリンにキスするエピソードなど、コリンの創作ではないのか。マリリンはもちろんオリヴィエも物故者となってから発表されたという原作、すべてが事実かどうかは「神のみぞ知る」のだ。。。

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