こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

タイタンの逆襲

otello2012-05-05

タイタンの逆襲 WRATH OF THE TITANS

オススメ度 ★★*
監督 ジョナサン・リーベスマン
出演 サム・ワーシントン/リーアム・ニーソン/レイフ・ファインズ/ダニー・ヒューストン/エドガー・ラミレス/ビル・ナイ/トビー・ケベル/ロザムンド・パイク
ナンバー 111
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

“人間は死んでも魂は別に場所に行くが、神の場合はただ消滅し忘却されるだけ”。地上を支配した神々のリーダーでさえも、衰えとともに忍び寄る切実な不安。もはや人間に対する影響力も弱まり、だれも祈りを捧げてくれない。さらに世界崩壊の危機が迫っているのに、ひとりでは為す術もない。権勢をふるった時代は過去になり、実の息子に見捨てられるゼウス。しかしそれは彼自身も昔選んだ道、因果応報とはいえその老醜は哀れを誘う。映画は地底に封印したはずの巨神を倒すために、再び人間の勇者が剣と槍を手に戦う姿を描く。双頭獣、一つ目巨人、壮大な地下迷宮、山より大きい火神etc.、CGで再現されたギリシア神話の異形たちが3Dのド迫力でスクリーンによみがえる。

タイタンの巨神・クロノスの復活を阻止するために、ゼウスは漁師となって暮らすペルセウスに助力を請うた後、息子のアレスと兄・ハデスの裏切りにあう。ペルセウスはポセイドンの息子・アゲノール、アンドロメダ女王らと、捕らわれの身となったゼウス救出に向かう。

ゼウスはハデスと協力してクロノスを幽閉したのに、その後ハデスを冥界に追放、怒りが収まらないハデスはアレスを唆しゼウスを虜にする。親子・兄弟といった濃い血縁関係ゆえ、逆に恨みは強く、神の立場を忘れて個人的な復讐に走る。だが普通の人間社会でもここまで信用できないと誰にも相手にされなくなるはずだ。一方で、神の血を受け継ぎながらも人間として生きるペルセウスとアゲノールのほうが、よほど勇気や信頼を大切にしている。それは、人の命には限りがあるからこそまっとうに生きろという先人の教えなのだ。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

結局、今回もテーマは神々たち身内のお家騒動。後継者にと育てた嫡男が器量不足な上、かつてのライバルに寝返ったため、仕方なく愛人に産ませた優秀な隠し子に事態を収拾させる構図。現代の日本でも同族会社にありがちな私利私欲丸出しの低次元な争いの物語は、神話など反面教師にすべきものであると訴えているようだ。

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