ツナグ
監督 平川雄一朗
出演 松坂桃李/樹木希林/佐藤隆太/桐谷美玲/橋本愛/大野いと/遠藤憲一/別所哲也/本上まなみ/浅田美代子/八千草薫/仲代達矢
ナンバー 249
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています
伝えられなかった思い、知っておきたかった答え。死んでしまった者たちとの間に横たわる溝は、生きている者を苦しめる。だが、一度に限りわだかまりを解くチャンスを与えられたら、どんな言葉を用意するべきか。物語は死者を甦らせる能力者になるべく修業する青年が、他人の人生に干渉せざるを得ない苦悩を描く。誤解が解けて幸せになる人もいる、更なる悩みを背負い込む人もいる、また願いが叶う人もいる。彼らを見つめながらも、自身は両親の死に深く傷ついている。優しさのみでは決して幸せになれない、しかし真実を知ることで人間は解放される、それらを体験して成長いていく主人公の姿がいとおしい。
死者との再会を仲介する「ツナグ」の後継者見習いの歩美は、ガン死した母に家の権利書のありかを聞き出したい男の依頼を受ける。その後、親友が事故死した同級生、失踪した婚約者を忘れられない男などに死者との面会をセッティングする。
演劇部の女高生・嵐と御園がヒロイン役を争って険悪になった上に、嵐が殺意まで抱くエピソードが、彼女たちの複雑な心理を象徴していた。仲良しだった御園が突如ライバルになり、お互いに足を引っ張り合う。ところが御園の死でヒロイン役が嵐に転がり込むが、嵐は自分が御園を殺したと思い込んでいる。御園と二人になった嵐は謝るだけで何をしたかは言えない、一方で御園の寛容は嵐を責め続ける。女同士の友情と憎しみが入り混じった不可解な感情がミステリアスだった。
◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆
ただ、行方不明になったキラリを待ち続ける土屋のパートは出会いからしてバカげている。全く素性が分からない女へのプロポーズ自体異様だが、そもそも救急搬送に付き添ったならキラリの身分証明書くらい確認するはずだろう。本名も知らぬまま同棲を始め、キラリが消えてから彼女のプロフィルが偽だったと気づくアホらしさ。リアリティを持たせるためのディテールがあまりにも杜撰すぎ、開いた口がふさがらなかった。。。
オススメ度 ★★