こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

JAPAN IN A DAY

otello2012-11-07

JAPAN IN A DAY

監督 フィリップ・マーティン/成田岳
出演
ナンバー 245
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

時間が止まったままの人がいる。新しい一歩を踏み出そうとする人もいる。直接被害を受けたわけではないが何らかの形で被災者を励まそうとする人もいる。まるで無関心の人もいる。おそらく日本人すべてが記憶しているであろう悲劇からちょうど1年後の“その日”を、人々はどんな思いを抱えて過ごしたのか。映画は一般人から募集した2012年3月11日の映像をつなぎ合わせ、ありふれた1日でも、当人にとってはかけがえのない1日であると証明していく。他人にとって意味はなくとも思い出に残る一瞬かもしれない、人生はそんな一コマの積み重ねであることをこの作品は教えてくれる。

深夜、日付が変わっても若者たちは騒ぎ、居酒屋では酔客が心地よく飲んでいる。夜が明け、あの大災害から1年後の朝が始まる。

津波で両親と妻・娘を一度に亡くした男はその時の様子を淡々と再現し、この1年泣く暇もなかったと述懐する。流された我が家の跡地にロープを張って黄色いハンカチを結びつける人もいる。理髪店の店主は客が来なくなったと嘆く。1歳の誕生日を迎えた娘を祝う両親もいる。それら断片的なシーンの数々は前半こそ興味を持って見ていられるが、次第に何の絞り込みもなくただダラダラとした日常風景ばかりが多くなり退屈を禁じえない。たとえば津波に奪われた命といまだ続く放射能の恐怖をテーマにするなどのアイデアが欲しかった。オッサンと子供がひたすら自転車をこいだり、スカイダイビングに興じる青年や街頭パフォーマンスを見せる少年など、あえてこのタイミングで見せる必要性はあるまい。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがて午後2時46分に追悼式が始まり、その後も入籍する夫婦や結婚式衣装を合わせるカップル、新たに赤ちゃんが生まれたりする。それらの出来事に、どれほどの大惨事に見舞われようとも人間は立ち直れるという、あきらめない日本人の姿を投影し、希望に結び付けようとする姿勢は理解できる。だが見せ方に工夫が乏しくあまりにも単調すぎたのが残念だ。

オススメ度 ★★

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