こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

感染 予言

otello2004-10-06

感染 予言

ポイント 感染:★*   予言:★★
DATE 04/10/2
THEATER ワーナーマイカルつきみ野
監督 感染:落合正幸  予言:鶴田法男
ナンバー 116
出演 感染:佐藤浩市/高嶋政伸/星野真理/羽田美智子/南果歩/佐野史郎
予言:三上博史/酒井法子/堀北真希/小野真弓
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

感染

大して内容のないストーリーを思わせぶりなカットで水増しし、効果音で脅しをかけるだけという典型的な3流ホラームービーだ。とりあえず今までのホラー映画の表現方法はマスターしてますよ的な、監督の自己満足に終わっている。きちんと脚本を練り何を描きたいかを明確にしないまま、ただ怖そうな映画を撮ったというだけでは、恐怖の本質は伝わった来ない。映像表現術を身につけても肝心のストーリーからは退屈そのものだ。

経営が思わしくなく倒産寸前の病院で院内感染が発生。その感染症の原因は今までにない新種のウィルスで、感染者は体内が溶けて緑色の液体を噴出する。やがて看護婦、医師がひとりまたひとりとウィルスの餌食となる。

せっかく経営が逼迫しているというシチュエーションを作りながらそれが生かされておらず、他の患者も医療ミスで死ぬ患者と痴呆老人以外は何のために登場させたのか意味不明。また、縫合の練習ばかりする若手医師とその先輩も無用なキャラクターだろう。この病院の責任者としてもはや倒産するしかない状況に追い込まれた上に医療ミスまで犯した医師が妄想を見るという夢オチという結末もあまりに安易。最初からこの医師の視点で描くなど、何らかの工夫がほしかった。



予言

不幸な事故が起きるという未来を知ってしまったら、人間はどのように行動するか。それが自分の身近な人におきる不幸なら、自分の身を犠牲にしてでも助けようとするだろう。それとも未来は変えられないと静観するか。悲惨な事故や事件を予知する能力を偶然身につけた人間が味わう懊悩がリアルに描かれる。

幼い娘を交通事故で亡くした男は、事故の直前その事故を報じた新聞を目にしていた。それは恐怖新聞と呼ばれ、予知能力を持ったものだけに配達される。やがて男は自分のほかにも同じ症状で苦しみながら死んでいった人々がいることを知る。

一応、この男の苦悩は描かれている。過去に恐怖新聞の犠牲になった人々を訪ねて解決策を見つけようとするなど、場面に動きもある。そして、自分の身を犠牲にしてまで予言を変える勇気があるかという、人間として勇気を問いかける。そういう主人公の葛藤をもっと描けばいいのに、夢オチを何度も繰り返すなど、内容の水増しが目に余る。この作品もまた、脚本の段階から練り直せば、少なくとも退屈しないレベルにまではなっただろう。

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