ニュームーン/トワイライト・サーガ The Twilight Saga: New Moon
ポイント ★★
DATE 09/11/28
THEATER THYK
監督 クリス・ワイツ
ナンバー 283
出演 ロバート・パティンソン/クリステン・スチュアート/テイラー・ロートナー/ダコタ・ファニング/マイケル・シーン
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています
恋人は年を取らないのに、自分は老いてゆく。永遠の命と若さを手にした男に恋をしてしまった女は、人間であることを憎む。しかし、男も彼女を愛するがゆえに自制し苦しみを共にしなければならない。相手がいなければ生きていけないと思いこむほどの恋、苦悩と絶望が待ち受けていると分かっていてもその気持ちを抑えきれない。映画は、恋人に去られたヒロインが、失意と自暴自棄の中から立ち直っていく過程で、女心の浅はかさと身勝手さを描く。ヴァンパイアと別れたら、そのすぐ後で狼人間と付き合い始めるというのでは、ベラは単に怪物好きのバカ女。叶わぬ恋に身をやつし、悲劇のヒロインになった己の姿に酔っているだけだ。
ベラとエドワードの交際は順調だったが、18歳のバースデイパーティで流血したことから、エドワードから別れを告げられる。時とともにベラの傷は癒え、やがて幼なじみのジェイコブに胸を開くようになる。だが、ジェイコブはヴァンパイアの敵・狼人間の末裔だった。
どんよりとした海と空、うっそうとした深い森、スピーディに動き回るカメラは、この作品でも切なさと情熱を兼ね備えたクールな映像でさめざめとしたベラの心情を表現する。楽しいはずのデート中でもベラは眉根を寄せ、泣きはらした後のような目は18歳の少女とは思えないほど。世界中の悲しみを引き受けているような彼女の落ち込みぶりと、新たな恋を見つけても思い切って踏み込めないためらい。物語は恋愛の素晴らしさよりも、人を愛する心の裏にある欲深さを赤裸々にさらけ出す。
そして、ベラは自殺しようとするエドワードを命がけで助けたかと思うと、ジェイコブの制止を振り切りヴァンパイアになる決心をする始末。しまいには「私のために争わないで」とエドワードとジェイコブに言い放つ。男2人を天秤にかけ、あくまで恋愛の主役でいたいだけのベラにはあいた口がふさがらなかった。彼女の愚かさが次回作で新たな展開を生むための伏線になっているのならよいが。。。