こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ローン・レンジャー

otello2013-08-07

ローン・レンジャー THE LONE RANGER

監督 ゴア・ヴァービンスキー
出演 ジョニー・デップ/アーミー・ハマー/トム・ウィルキンソン/ウィリアム・フィクナー/バリー・ペッパー/ヘレナ・ボナム=カーター/ジェームズ・バッジ・デール
ナンバー 195
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

法による裁きか、死の復讐か。白馬にまたがって駆ける黒マスクの男と顔に奇妙なペイントを施したカラスを頭に頂いた男。“正義”に対する考え方の対照的な2人がコンビを組んで、己の描く世界を実現するために裏切りと欺瞞を繰り返す資本家に迫っていく。その過程で繰り広げられるアクションの数々は躍動感に満ち、手に汗握る展開の連続に胸が躍る。映画は、19世紀後半、広大な米国を統治するために敷設された鉄道を舞台に、善玉、悪玉、正体不明の女、原住民、騎兵隊、出稼ぎ中国人、女子供までを絡ませてラストまで疾走する。

部族を惨殺した仇を探して放浪するはぐれインディアンのトントは、脱走した死刑囚・ブッチを追って返り討ちにあった新任検事・ジョンの命を助ける。トントによって不思議な力を与えられたジョンはローン・レンジャーとなって復活、トントと共にブッチを追う。

トントとジョンが残された手がかりを元にブッチの足跡をたどるうちに、鉄道建設の邪魔になるインディアンを排除する計画が浮き彫りになっていく。しかし2人は協力するどころか、ことあるごとに対立し、窮地を招くばかり。このあたり、虐げられた者の代表として世の中の裏まで知り尽くした人生の先輩・トントが、血気盛んな若者・ジョンにフロンティアでの生き方を伝授するというような、ある種の“師弟関係”を描いていればすんなりと飲み込めたのだが、ジョンはあくまでトントに“上から目線”を貫く。もちろん当時インディアンは白人より劣ると考えるのが米国の常識だったのだろうが、ヒーローの誕生・成長秘話をすっ飛ばし黒マスクと白ハットを身に付けただけでいきなり大活躍するジョンの姿には共感できなかった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

また、その他の登場人物にもキレがないのが残念。特に象牙義足の女には期待したが、一発芸に終わってしまう。確かに大作感にあふれてはいるが、トントの奇抜な風貌ばかりが記憶に残る作品だった。

オススメ度 ★★

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