るろうに剣心 京都大火編
監督 大友啓史
出演 佐藤健/武井咲/青木崇高/蒼井優/江口洋介/伊勢谷友介/土屋太鳳/田中泯/藤原竜也/神木隆之介/福山雅治
ナンバー 179
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています
物腰はあくまで柔らかく笑みを絶やさないが、剣の腕前は天下一品の冴えを見せる剣豪を演じる神木隆之介の飄々としたたたずまいが圧倒的な存在感。一方で洗練された格闘術と多種多様な武器に精通した元御庭番に扮する伊勢谷友介が、スタイリッシュで謎めいた雰囲気をまとい緊張感を高めていく。もちろん30人ものチンピラに当身をくらわす佐藤健の軽やかな身のこなしも健在。彼らのアクションをいかに斬新に表現するか腐心した映像はリズミカルな躍動感に満ち、壮麗かつ大胆な様式美の世界に昇華されている。物語は政府転覆を目論む元暗殺者の暗躍を食い止めるために京都に向かった主人公が、さらなる陰謀に巻き込まれる姿を描く。
反政府勢力・志々雄のアジトを急襲した警察官の斎藤は返り討ちにあい、多くの部下を失う。政府に協力を依頼された剣心は志々雄が潜伏する京都に赴くが、東京からの道中、宗次郎と剣を交え、逆刃刀を折られる。
敵はますます強大になり、人物相関図はより複雑になり、様々な思惑を胸に抱く強烈な新キャラが複数登場してレギュラー陣の影が薄くなる。そんな続編の宿命を踏襲しつつも、ダイナミックな絵作りでテンポよく進むため考える暇を与えない。特に剣心を狙う蒼紫が佐之助をぶちのめしたり、師匠と決闘するシーンは、肉が歪み骨がきしむ、生身の肉体の悲鳴が聞こえるような重量感あふれるリアルな演出。次々に繰り広げられる活劇の中で異彩を放っていた。
◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆
やがて志々雄の京都放火計画を察知した剣心と斎藤、元御庭番衆は総力を挙げて阻止に奔走する。目抜き通りを練り歩く巨大な炎櫓と松明、その陰影の中で数十人が入り乱れての大混戦、そして剣心と志々雄の因縁。剣心の加勢に来た薫が足手まといになるなど予想通りの出来事も起きるが、志々雄の真の目的を見抜いた剣心が罠と知りつつ更なる試練に飛び込み、展開は混迷を深めていく。謎の男を含め、次回作で伏線がきちんと回収されることを望む。
オススメ度 ★★*