フォーカス FOCUS
監督 グレン・フィカーラ/ジョン・レクア
出演 ウィル・スミス/マーゴット・ロビー/ロドリゴ・サントロ/ジェラルド・マクレイニー
ナンバー 58
批評 ネタばれ注意！ 結末に触れています
お祭り騒ぎの雑踏、混雑したレストラン、旅行者であふれる空港やホテルのロビーetc. 思い切り遊ぼうとやってくる老若男女を見定めカモにする詐欺師組織は、無防備なポケットやバッグから財布を抜き取り仲間にパスする。さらに腕時計や貴金属のアクセサリーを気づかぬうちにはずし、クレジットカードのスキミングや偽ATMの設置など、効率的に他人の財産を密かに奪う。もはや芸術的といえるほどの手業から心理学の応用まで、人間の意識と先入観のスキをついた知能犯罪の数々は爽快感すら覚える。映画は、詐欺師集団のボスが若く美しい教え子との微妙な関係に葛藤しながらも巨大な罠を仕掛ける姿をスタイリッシュに描く。半人前のころは“女”扱いしていなかったのに、洗練された彼女と再会すると自分のものにしたくなる、そんな主人公の嫉妬が男のわがままを象徴していた。
高級レストランでジェスに声をかけられた詐欺師のニッキーは、彼女のハニートラップをあっさり躱す。ジェスはニッキーに弟子入りを志願、ニューオーリンズでのミッションに加えてもらう。
観光客相手に手堅く稼いだ後、ニッキーとジェスはフットボールの試合場で中国人ギャンブラーに他愛ない賭けを始める。最初は1/2前後の勝率で少額、徐々に金額をUPし最後には200万ドル超に吊り上げる。勝算ゼロに近い無謀なギャンブルにジェスはひるむがニッキーは自信たっぷり。小金なら現場での的確な判断で盗めるが、大金をせしめるにはカネと時間を惜しまぬ綿密な準備が必要であるとニッキーはジェスに教えていく。
◆ネタばれ注意！ 以下 結末に触れています◆
一度はジェスを捨てたニッキーだが、新たなターゲットに定めた男にジェスが接近しているのを目撃、カネ以上に彼女の心が欲しくなる。ところが、ニッキーの言動には、真実なのか虚構なのか計り知れない部分がほとんどで、愛という感情すら本物か疑わしい。人を騙して生きてきたニッキーの、だれも信用できないゆえに信用もされない世界観が切なかった。まあ、最後のトリックは「スティング」を知っていたので見抜けたが。。。、
オススメ度 ★★★
