こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

呪怨 ザ・ファイナル

otello2015-06-27

呪怨 ザ・ファイナル

監督 落合正幸
出演 平愛梨麻衣/桐山漣/おのののか/柳ゆり菜/松浦雅
ナンバー 150
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

テーブルの下、スープ皿、ドアの陰、ベッドの脇、背中。どこにいても憑りつき、絶対に離れない強い怨念。復讐したいわけではない、平和な暮らしを享受しているのが許せないだけ。物語は強烈な憎悪をこの世に残した母と幼い男の子が、関わった者すべてを呪い殺していく過程を描く。親切にしても恨みの火に油を注ぐばかり、愛や優しさなど一切通じない。彼らの気持ちを理解し心を開かせようとしても徒労に終わるのみ。静かに背後に忍び寄り、大げさな効果音と共に死角から突然現れ、ただただ驚かせ恐れさせ絶望のどん底に引きずり込む。そんな、白パンツの男の子と首をカクカク鳴らす口裂け女の“一発芸”のオンパレードは、ホラー表現の見本市のようだ。各エピソードから起承転結の“承転”を省略した潔さがスピード感を与えている。

失踪した妹の荷物を整理していた麻衣は、俊雄という少年が関係していると知る。だがそれ以降麻衣の周囲では不気味なことが起き始める。俊雄は両親の死後、いとこの女子高生・玲央の家に引き取られていた。

その後、玲央の家族や友人、麻衣の夫が次々と犠牲になっていく。最初は警告程度に存在を知らしめ、何度も姿をチラ見させたのち、相手が十分に慄いたところで正体を見せてとどめを刺す俊雄と母の伽耶子。特にマンションのドアポストの狭い空間から伽耶子が侵入してくるシーンは、退路を断たれジワジワと追い詰められる感覚を体験できる。また、エレベーターの中に何人もの俊雄が乗っている場面は、同様の外見でもそれぞれ微妙に違っているところに、怖さを覚える前に失笑してしまった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

そしてお約束の、二階から階段を這い降りてくる伽耶子。自分が味わった恐怖と苦痛、裏切られた無念と怒りを麻衣にぶつける。その顔を見てしまったら脅えながら死を待つしかない。もはや伽耶子の暴走を止められるのは貞子しかいないのかと、エンドロール後の予告映像で確信した。まあ、引き分けに終わると思うが。。。

オススメ度 ★★

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