こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

二ノ国

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気づくとそこはファンタジーな町、中世ヨーロッパ風の服装をした人々が石造りの街路を闊歩している。電気やガスはまだなく、魔術や呪術が信じられている。物語は現代の東京から異次元に迷い込んだ2人の少年の冒険を追う。なぜか現実世界で親しい人とそっくりな人がいる。なぜか身のこなしが軽くなり、鍛え上げられた戦士のような動きができる。2人は同級生と瓜二つの王女を助けたことで自らの使命を達成したと感じる。だが、2つの世界を結ぶ残酷な掟が彼らの前に立ちはだかる。そして問われる “大切な人を救うために何かを失う覚悟“。やがて愛する者への強い思いが親友だった2人を引き裂き、敵対する国の戦士として剣を交える羽目になる。自分が正しいと思い込むほど相手が歪んで見える、善悪ではなく、ひとつの正義が別の正義とぶつかり合うのが戦争だとこの作品は教えてくれる。

交通事故がきっかけで並行次元・二ノ国にジャンプしたハルとユウは、ハルの彼女・コトナに似たアーシャ姫に面会を求める。アーシャ姫の病気の元をユウが取り除き、2人は英雄として迎え入れられる。

ユウは現実世界では車いす生活だが、二ノ国では強靭な剣士に変身、ハルも同じく剣士になっている。2人の意識は継続しているが、コトナとアーシャは別人格でお互いを知らない。2人が現実に戻るとコトナが不治の病で入院、その原因はアーシャを救ったからだと気づく。救うべきはアーシャかコトナか。宮崎駿に通じるタッチの絵は温かみがあり、アーシャが湖で舞うシーンは幻想的だった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ハルはコトナを守る決意を固め、再び二ノ国に戻るとアーシャの国を攻める敵国に加勢する。さらに裏切りと陰謀が発覚、二ノ国は全面戦争に巻き込まれる。描き込まれる情報量が少ないのは対象となる年齢層が低いせいなのか、精緻さを追い求める最近のアニメとは一味違う画風はゆったりとした気分にさせてくれる。現実世界と比べて二ノ国の規模が極端に小さいのは、人間の数だけ二ノ国が存在するという設定なのか。

監督  百瀬義行
出演  山崎賢人/新田真剣佑/永野芽郁/宮野真守/坂本真綾/梶裕貴
ナンバー  201
オススメ度  ★★*


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