こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ザ・ロストシティ

高いフェンスをひらりと乗り越え見張りを瞬殺、傾いだ木を駆け上がったかと思うと下にいる敵にとびかかる。銃を持つ相手にもひるまず実戦向け格闘技で数人の警備員を数秒で始末する。この、特殊部隊出身の探偵を演じたブラッド・ピットが圧倒的な存在感を示していた。物語は、大富豪に誘拐された女冒険小説家と、彼女を救出するために絶海の孤島にやってきた表紙モデルの脱出珍道中を描く。噴火の兆候が見える火山島、古代遺跡には財宝が眠っていると伝えられている。大富豪一味に追われながらも、小説家とモデルはヒントとなる象形文字を解読していく。ジャングルと川、切り立った崖と深い霧、電子機器は使えない。そんな状況で、ヒロインがピンクラメドレスのままでサバイバルする姿は、滑稽さ以上に彼女の強烈な意志を象徴していた。

アランは、フェアファックスに拉致されたロレッタを救出するが、乗ってきたクルマを崖下に落としてしまい、2人は徒歩で空港を目指す。空港までは、熱帯雨林に覆われた山を越えなければならない。

ロレッタはブーツに履き替えるが、ドレスはタイトなパーティ用のまま。動きづらいしジャングルでは目立つ。それでも彼女は「逃亡」と「解読」の両立を考える。マッチョにもかかわらず気弱なアランも、ロレッタを守らなければならないという使命感に目覚め覚悟を決める。ひとつのハンモックで2人が休息をとるシーンは、知的な職業の女と肉体だけは鍛え上げた男の奇妙なミスマッチが印象に残った。ヒルがアランにだけに吸い付くのは不自然だが、ヒルを取るためにロレッタが裸になったら、フェミニストからのクレームが予想されるので納得はできる。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ただ、設定や状況などが既視感のあるパターンで、もう少しオリジナリティが欲しかった。まあ、新刊発表会見を出版エージェントがプロデュースする米国の慣習は新鮮だったが。あと、フェアファックスが乗る自家用ジェット機が垂直離着陸型なのには驚いたが、もう民間人でもカネさえ積めば手に入るのだろうか?

監督     アダム・ニー/アーロン・ニー
出演     サンドラ・ブロック/チャニング・テイタム/ダニエル・ラドクリフ/ダバイン・ジョイ・ランドルフ/ブラッド・ピット
ナンバー     119
オススメ度     ★★★


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