こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

沈黙の傭兵

otello2006-11-29

沈黙の傭兵 MERCENARY FOR JUSTICE

ポイント ★*
DATE 06/10/24
THEATER 虎ノ門TOX
監督 ドン・E・ファンルロイ
ナンバー 182
出演 スティーブン・セガール/ルーク・ゴス/ロジャー・グーンヴァー・スミス/ジャクリーン・ロード
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


たるみきったあごのラインに大きくせりでた腹、ヘリコプターに乗り込むときの重量感。でっぷりと太ってしまったスティーブン・セガールに往時の切れ味はない。素手の格闘においても攻撃は単発・単調で、省エネ運転丸出し。いまだにセガールの看板に頼った安易な映画作りには、もはや「トホホ感」すら漂う。同世代でもいまだに肉体的鍛錬を怠らずアクション映画にこだわり続けるジャッキー・チェンを見習ってほしい。


アフリカの独裁政権を倒すために傭兵部隊を率いて乗り込んだシーガーは、敵の逆襲に合って仲間を失った上に退却を余儀なくされる。CIAと武器商人の陰謀に気づいた彼は、仲間の復讐のために武器を取る。


もはや細かい設定などにあまり関心はないのだろう。とにかく小銃・拳銃・バズーカ砲をぶっ放し、派手に敵を殺しまくる。それも自分のミッションを邪魔しようとする人間を善悪の区別することなくすべてを。シーガーの復讐とは無関係の職務に忠実なだけの警官や警備兵まで容赦なく銃弾をぶち込み、首の骨をへし折る。そこにはカタルシス感じるような余韻はなく、ゲームセンターのシューティングゲームそのものだ。まあ、それにしては戦場や街中の銀行、郊外の刑務所などでロケをすることで、意外に臨場感はあったが。南アフリカを舞台にすることでその当たりのコストを抑えたのだろう。


そしてクライマックス、銀行からカネを盗み脱出、さらに復讐に至る過程でまたまた派手なガンアクションが繰り広げられる。それら一連のシーン、セガールはロングコートを着たままだ。明らかに体型を隠すためと思われるが、それでもその肉体の衰えは隠し切れない。やはりアクション俳優も引き際が大切だ。


↓メルマガ登録はこちらから↓