こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

最高の人生の見つけ方

otello2008-05-12

最高の人生の見つけ方 THE BUCKET LIST


ポイント ★★★
DATE 08/5/10
THEATER THYK
監督 ロブ・ライナー
ナンバー 111
出演 ジャック・ニコルソン/モーガン・フリーマン/ショーン・ヘイズ/ロブ・モロー
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


1000人中96%は自分の死ぬ日を知りたくないという。ガン病棟、同室者の余命を知った男は己の命の期限も知りたいと願い、その時までにやりたいことをノートに書き出す。彼の願望はあくまでよき人間として生を全うすること。しかし、同室者はもっと心の声に忠実になれという。ささやかながら正直に暮らしてきた男と、強欲に金儲けに励んできた男。正反対の生き方をしてきた2人が末期ガンという共通項で結ばれたとき、篤い友情が生まれる。映画は2人を通じて、大切なものを得るには別の大切なものを捨てなければならないという人生における選択を描く。


自動車修理工のカーターと大富豪のエドワードは共にガンで入院、相部屋になる。やがて打ち解けた2人は残された時間でかなえたい夢をリストにする。病状が回復すると、早速2人は旅に出る。


博学で思慮深いカーターは家族のために身を捧げたと思っている。ビジネスで成功したエドワードは家族を犠牲にしたことを自覚している。その結果、入院中に家族の見舞が絶えないカーターと秘書しか顔を見せないエドワードが対照的。だが、思い通りに生きるにはカネがかかるのも事実で、決してカネより家族が大切と結論付けていないところがよい。カーターはエドワードの財力のおかげでスリルや美食・感動といった、抑えてきた欲望を爆発させることができるのだ。なのに男2人で楽しんでいる最中に水をさすカーターの妻。男のロマンを理解できない女の狭量さが、物語の足を引っ張る。


モーガン・フリーマンはどうしてイメージに固執するのだろう。この作品でも理想的な家庭人を演じ、美女の誘惑にも決して乗らない。せっかくエドワードという友を得たのだから、カーターもたまっていたリビドーを解放してもよかったのではないだろうか。妻を愛してはいるが、別の道もあったのではないかと懐疑的になるくらいなら、最期くらい小さな裏切りをしても、墓場まで秘密を持っていけたはず。どうせヒマラヤの山中に埋められるのだから。。。


↓その他の上映中作品はこちらから↓