こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

アイアンマン

otello2008-10-06

アイアンマン IRON MAN

ポイント ★★*
DATE 08/9/27
THEATER THYK
監督 ジョン・ファヴロー
ナンバー 235
出演 ロバート・ダウニー・JR/テレンス・ハワード/ジェフ・ブリッジス/グウィネス・パルトロウ
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


偶然でも生まれつきでも実験の副産物でもなく、必然の結果からスーパーパワーを身につけた主人公。超合金のスーツを着用するだけで銃弾を跳ね返し、ジェット戦闘機よりも速く空を飛び、圧倒的な腕力と火力で敵をねじ伏せる。スーツを脱げば生身の人間に戻ることができるという便利なアイテムのおかげで、パワーの由来を求めて彷徨したりアイデンティティクライシスに悩むこともない。一方で、誰でもが操縦さえ覚えれば危険な武器になりうるだけに、悪党の手に渡った時は恐ろしい事態が待っている。はたして物語はなんのひねりもなく予想通りの展開を見せる。


新兵器のプレゼン中、アフガンゲリラに誘拐された兵器会社CEO・トニーは、大量破壊兵器製作を命令されるが、ガラクタを集めてパワードスーツを作り無事脱出する。彼はその時自社製品がゲリラの手に渡っていることを知って武器製造撤退を表明、ひとりでパワードスーツ改良版の開発に取り掛かる。


巨大軍需産業社長にしてプレイボーイというまさに成功者を絵にかいたようなトニーだが、彼の能力を示す具体的なディテールがほしい。一度会った相手の顔を忘れていたり自分の社会保障番号を答えられなかったりと、彼の行動を見ている限り天才という実感がどうもわかないのだ。その反面、新製品の実用化には理論だけではなく膨大な試行錯誤が伴うことはよく描きこまれており、むしろその過程がこの映画の見所といってよいくらいだ。


新型パワードスーツを完成させたトニーは早速ゲリラをせん滅するが、共同経営者がトニーを裏切って格段に洗練されたパワードスーツを組み立てる。そしてお決まりのクライマックス。同じ構造を持つより強力な敵と戦わなければならない主人公という構図は、トニーが最後に顔を出した「インクレディブル・ハルク」の超重量級の肉弾戦に重なり、これというほどの新鮮さはない。まあ、トニーが自ら正体を告白したり、「スパイダーマン」のあるキャラクターが登場するなどして続編に気を持たせるが、次回作はもう少し斬新な映像を期待したい。


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