こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ロスト・フライト

落雷により海上電源喪失、あらゆる電子機器が使えない。やっと見つけた陸地はジャングルに覆われている上、エンジンは片方止まっている。そんな危機的状況で、経験と直感を頼りに細い道路に着陸しようとする旅客機。物語は、反政府武装ゲリラが支配する島に不時着した民間航空機の乗員乗客が脱出を試みる過程を描く。ゲリラは外国人を誘拐し、要求が通らなければ平気で人質を処刑するならず者。乗員乗客十数人はすぐにゲリラに拉致されるが、たまたま現場を離れていた機長は護送中の殺人犯と共に反撃のチャンスをうかがう。どんな苦難に合っても自分の命より乗客の命を守ろうとする責任感あふれる機長はジェラルド・バトラーのはまり役、決してあきらめないタフで頼りがいのある男をそつなく演じていた。

助けを呼ぶために廃屋に忍び込んだトランス機長は本社に電話して救助要請するが、相手にされない。その場で見張りに襲われるが撃退、小銃を手に入れた殺人犯のガスパールと合流する。

ガスパールは元軍人で武器の扱いに慣れている。喉を刃物で切り裂き頭をハンマーでぶちのめすなど、発砲せずとも下っ端ゲリラを次々と仕留めていく。機内では凶暴な雰囲気を漂わせていたのに戦闘状態になると冷静沈着に現状を分析し、いかにして敵を効果的に倒し生き残れるかを計算する。このあたりジャングルでは無策のトランスとは対照的で非常にクレバー。サバイバルに必要なものは何かを教えてくれる。それにしても小型とはいえ旅客機が着陸できるほどの広く舗装された道がジャングルにあるとは。。。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

投降したトランスが射殺されそうになった瞬間、本社が派遣した傭兵部隊が救出に現れる。近代的装備のプロ戦闘員相手にゲリラは人海戦術をとるが、死体の山ができるだけ。近年は悪党をぶち殺すにもそれなりの説得力が必要だが、大義も主張もないこの島のゲリラには同情も共感も一切余地がなく、気持ちよく銃弾の餌食になっていく。不運で人を殺めたというガスパールの行動が唯一合理的に思えた。

監督     ジャン=フランソワ・リシェ
出演     ジェラルド・バトラー/マイク・コルター/ヨーソン・アン/トニー・ゴールドウィン
ナンバー     212
オススメ度     ★★*


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