こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

燃えよ!じじぃドラゴン 龍虎激闘

otello2013-01-09

燃えよ!じじぃドラゴン 龍虎激闘 打擂台

監督 デレク・クォック/クレメント・チェン
出演 ブルース・リャン/チェン・クァンタイ/ロー・マン/チャーリー・チャン/ウォン・ヤウナム/ジア・シャオチェン/ジン・アウヨン
ナンバー 6
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

すっかり見る影もなく太ってしまい、視力も衰えたのか分厚いレンズのメガネをかけている。ところが、彼の足さばきは、40年近く前ブルース・リーに次ぐアクションスターとして“ドラゴン”を名乗ることを許された当時の残像を蘇らせ、自在に繰り出される蹴りでチンピラどもをぶちのめしていく。一見冴えない老人なのにとてつもなく強いじじいをブルース・リャンが熱演、肉体と肉体、拳と拳が激突する応年のカンフー映画を彷彿させてくれる。オープニングからブルース・リー映画を連想させる音楽と映像で彩られ、更なる郷愁がこみ上げてくる。

子供のころいじめっ子だったチョンは、今や冴えないサラリーマン。上司に命じられて小さな村にある茶店の地上げに向かうが、そこでチンピラに絡まれていたところをソンという老人に助けられる。ソンこそが地上げする店の主人だった。

ソンの拳法に尊敬の念を抱いたチョンはソンに入門しようとするが断られる。そんな時、30年間昏睡状態だったソンの師匠・ロー師範が目覚め、チョンを弟子にした上で武術大会出場を目指して特訓を始める。その過程で、ソンの兄弟弟子・センや若い娘が加わって武術修練に励むが、物語はいつしかチョンの成長をそっちのけにして、ソンやセンの復活と、事情が呑み込めないロー師範のトンチンカンな振る舞いにスポットをあてる。そのあたりはコミカルに描こうとするが、どこか笑いのツボにはまらず空回りするばかりだ。ほかにもかつてのカンフースターが数人顔を出しているのに、結局体を張っていたのはブルース・リャンのみなのはあまりにも物足りない。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

1970年代の香港映画は、情報漏れを防ぐために脚本は撮影当日にその日撮影する分だけしか配られなかったそうだが、この作品もそれに倣っているかのような行き当たりばったりの展開。いくらオマージュを捧げているといっても、そこまで真似しなくてもいいと思うが。。。

オススメ度 ★★

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