走り跳び街灯を登り屋根を伝い、襲い掛かるチンピラどもをひとりで倒していく。見かけは2倍に膨らむほどでっぷりと太っても、軽やかな身のこなしは健在だ。物語は、香港の熱血刑事が、東京のヤクザ組織を相手に大暴れする姿を描く。「ドラゴンへの道」のテーマをバックに、あらゆる犯罪者を一網打尽にする圧倒的なパフォーマンスは香港映画ならではのサービス精神が満載だ。さらに風船のような体なのに拳や脚、あらゆる攻撃防御のスピードは驚異的。だがどこかコミカルさが漂う。小難しい展開など一切なく、ただただアクションに徹し主人公の身体能力の高さを堪能するだけの作品だが、むしろその割り切りが心地よい。CGによる合成ではない、生身の人間が演じるからこその情熱がスクリーンからほとばしっていた。
左遷されたファーロンは運動不足と過食で肥満体になる。そんなとき、容疑者を警視庁に引き渡す任務に就き来日するが、容疑者に逃げられてしまう。容疑者はヤクザに身柄を狙われていた。
元恋人のホーイも同時期に来日、ヤクザが催すイベントのゲストに招かれる。ファーロンは香港人社会の世話人と接触、チンピラの取り立てから彼らを守ったことから、ヤクザとの対立を鮮明にしていく。このあたり、とりあえず話の流れのようなものはあるがミステリーの要素は控えめで、ドニー・イェン扮するファーロンがひたすら猥雑な街や鮮魚市場で大勢を相手に立ち回りを演じる。そのデブな外見と技のスピードとキレ味のギャップを楽しむためのスタントが満載で、ひと時もスクリーンから目が離せない。思考停止になってしまった。
◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆
クライマックスの東京タワーでの決闘は、縦横斜めに張り巡らされた鉄柱を立体的に使いこなしながらも重力を感じさせない軽やかさを見せるファーロン。さらにヤクザのボスが三叉剣を両手にするとファーロンはヌンチャクで応戦、ブルース・リーを彷彿させるパフォーマンスを見せてくれる。デブならではの不利な点も見せてくれればもっと笑えたかもしれないが。
監督 谷垣健治
出演 ドニー・イェン/ウォン・ジン/ルイス・チョン/テレサ・モウ/ニキ・チョウ/竹中直人/丞威/渡辺哲
ナンバー 2
オススメ度 ★★★
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