こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

劇場版 タイムスクープハンター 安土城 最後の1日

otello2013-09-02

劇場版 タイムスクープハンター 安土城 最後の1日

監督 中尾浩之
出演 要潤/夏帆/杏/時任三郎/上島竜兵/小島聖/カンニング竹山/嶋田久作/宇津井健
ナンバー 174
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

1985年のヤンキー高校生、1945年の愛国婦人会、1582年の野盗たち。それぞれの時代、気が立った人々から見ればあまりにも珍奇な服装ゆえ、タイムスクープハンターたちは人目を引き、警戒され、絡まれ、最後には彼らに襲われる。あらゆる過去にタイムワープし、歴史の知られざる一面を発掘する仕事、当然史実を変えるような干渉は許されず傍観者に徹するべきなのに、どうしてもトラブルに巻き込まれる。物語はそんな少し危なっかしい主人公を通じ、記録には残っていない一般大衆の生活をレポートしようとする。ゼロ年代に大流行したフェイクドキュメンタリーの手法を時代劇と融合させるアイデアが秀逸で、歴史の生き証人になった気分にさせてくれる。

本能寺の変直後の京に派遣された時空調査員・沢島は、元信長家中の侍・権之介に取材中、幻の茶器を持つ島井の護送に同行する羽目になる。道中、正体不明の山伏に不意打ちを食らい、茶器にまつわる履歴の修正作業を命じられる。

その過程で、安土城焼失の謎を解明したいヒカリという新人調査員と合流しつつ権之介のインタビューを進める沢島。そして、飢えた町人や、村が野盗に略奪され虜になった百姓など、信長亡き後無法地帯となった日本で弱き立場の彼らが嘗める辛酸を目の当たりにする。それは天下を目指す英雄伝には決して描かれることがない、サイレントマジョリティの叫び。だが、沢島の職分では彼らの事情に立ち入れず権之介らと共に野盗に捕縛されてしまう。このあたり、当時の人に未来の科学力の使用を禁止されている彼らはほとんど活躍できず、もどかしさばかりが募っていく。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

映画はミステリーを追うでもなく、人情に走るでもなく、アクションも乏しく、劇的な盛り上がりも欠ける。時空調査員のルールを順守すると必然的にそうなるわけだが、せっかく映画化するのならばもっと大胆な発想をしてもよかったのではないだろうか。安土城焼失の原因にも意外性はなかったし。。。

オススメ度 ★★

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