こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ゴーストブック おばけずかん

看板の文字は微妙に歪み、街並みはあらぬ方向に傾いている。家の中に入ると畳やシンクが壁面に設えられ、部屋が勝手に動いている。そして窓の外を眺めると、おばけたちが練り歩いている。物語は、異世界に迷い込んだ少年3人と女臨時教員が与えられた試練を克服していく過程を追う。先に来ていた少女と出会った。キャンプに来ているような非日常を楽しむ気分になった。だが、元の世界に戻るには恐ろしい力を持つおばけを捕獲しなければならない。タイムリミットが刻々と迫っている。そんな状況で5人は知恵と勇気を振り絞り機転を利かして危機を乗り越えていく。自分の利益を神頼みしても無視される。他人を助けるには代償が必要。成果を得るには命がけの自己犠牲が必要であると、登場人物の大仰な演技とCGキャラの過剰な反応が教えてくれる。

一樹、太一、サニーの3人は町はずれの古書店を訪問、新担任の瑤子も彼らを追う。散々迷った挙句、店外に出ると、学校を欠席していた女子クラスメート・湊と出くわす。

一樹たちを導いたおばけが、古書店で手に入れた図鑑に描かれたおばけの本体を探して図鑑の中に取り込み、7体捕獲をコンプリートすれば彼らの願い事が叶うと言う。おばけたちの恐ろしい外見と戦闘能力に最初は尻込みするが、後戻りできないという状況と、男子としてのプライドが彼らの背中を押す。米国映画なら間違いなく女子児童がリーダーで、ヘッポコ男子たちは彼女の指示に従うか足を引っ張る役割しか与えられないだろう。だがこの作品では女尊男卑に偏ったジェンダー意識がなく心地よかった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

小学生向けに作られた映画で、設定も謎解きも丁寧に説明され誰もがわかりやすい構造になっている。同時に、大人の頼りなさや友達を大切にする気持ちを前面に押し出し、音楽がしつこいほどに登場人物の感情を代弁する。その過剰なまでの心遣いは子供たちには楽しいと思う。夏休み向けの冒険映画のはずだが、登場人物がみな春先のような服装をしていたのが意外だった。

監督     山崎貴
出演     城桧吏/柴崎楓雅/サニーマックレンドン/吉村文香/神木隆之介/新垣結衣/鈴木杏/遠藤雄弥
ナンバー     135
オススメ度     ★★*


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