こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

マリリン・モンロー 瞳の中の秘密

otello2013-08-31

マリリン・モンロー 瞳の中の秘密 LOVE, MARILYN

監督 リズ・ガルバス
出演 マリリン・モンロー/ユマ・サーマン/グレン・クローズ/マリサ・トメイ/リンジー・ローハン
ナンバー 188
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

マリリン・モンローのシンボルともいえる左ほおのホクロ。デビュー間もないころの写真にはなかったり、彼女のセックスアピールの証となった後も、時に大きくなったり小さくなったり、薄くなったり消えたり。シチュエーションに応じて微妙に見かけが変わっていることに初めて気づいた。映画ではホクロの件には触れていないが、その変化は、彼女の波乱万丈の人生を象徴しているかのよう。カメラは彼女の死後50年を機に、新たに発見された書簡や映像を再編集し、マリリンの心の闇に迫ろうとする。

マリリン・モンローについて書かれ出版された本は1000冊を超え、最近2箱分の手紙が見つかる。そこには彼女の夢、努力、不満、孤独などが赤裸々につづられ、彼女の知られざる一面をうかがい知ることができる。

20世紀FOXのカメラテストを受けたマリリンは大物プロデューサー・ザナックと寝て役を与えられる。彼女は“枕営業”を恥じてはおらず、スターになるためのステップと割り切っている。もちろん他の女優以上にレッスンに励み、チャンスが来た時の準備は怠らない。さらに無名時代のヌード写真流出事件も利用して売名を図る。それらの映像は、彼女の、あくなき上昇志向と、映画によって固定された“バカだけれどセクシーな女”のイメージのジレンマに葛藤する姿を浮かび上がらせる。他人の要求と己が目指す理想のギャップ、それは最初の夫・ジョー・ディマジオとの破局の原因とも重なり、マリリンを追い詰めていく。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

後に、NYで本格的に演技を学び、自己の深層を見つめる作業に没頭する。その先にあるのは誰にも理解されない不安と恐怖。だが、契約を棒に振って出席したJFKのパーティでも、やっぱりセクシーなマリリンを演じている矛盾。マリリン・モンローという虚像の大きさに耐えきれなかった彼女の苦悩の深さは、“alone!!!!!!”の言葉の後に付いた感嘆符の数が物語っていた。

オススメ度 ★★*

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