こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

キャリー

otello2013-11-11

キャリー Carrie

監督 キンバリー・ピアース
出演 クロエ・グレース・モレッツ/ジュリアン・ムーア/ジュディ・グリア/ポーシャ・ダブルデイ/アレックス・ラッセル
ナンバー 270
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

恋人はおろか友人さえ作れず、クラスでも孤立し放課後はまっすぐ帰宅する少女。人生でいちばん輝いているはずのハイスクール時代を謳歌できないまま卒業式に臨もうとしている。だが、クラスメートからのいじめはエスカレートし、やがて彼女の痛みは超常的パワーに変貌する。映画はそんなヒロインが己の念動能力に気づき、洗練させ、復讐の炎となって爆発させるまでを描く。異常な信仰に心を病んだ母、自由を奪われた日常、罪を背負って生きる苦悩。それら誤った価値観こそが真実だったと悟った時、絶望と怒りが世界を焼き尽くす。血で始まり血でクライマックスを迎える穢れた物語は、本当の邪悪とは何かと問いかける。

初潮に戸惑い泣き叫ぶキャリーは生理用品を投げつけられた上、その様子をネットに流される。呵責を覚えたいじめグループのスーは、自分のボーイフレンド・トミーにキャリーをプロムに誘うように頼む。

一方でキャリーいじめの首謀者・クリスはプロム参加を禁じられ、腹いせにもう一度キャリーに恥をかかせようと計画を練る。何も知らずにキャリーはドレスを自作し、反対する母親を念力で押さえつけてプロムに参加する。初めて経験した男子との楽しい会話、女の子として着飾る幸せ、うつむきがちでいつもおどおどとしていたキャリーが、いつしかはつらつさを身にまとっていく。このあたり、どうしてもデ・パルマ版と比較してしまうが、当時無名のシシー・スペイセクがどこか気味悪さを漂わせていたのに比べ、クロエ・グレース・モレッツは内気な少女にしか見えなかった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

対照的に母は自宅で出産した赤ちゃんを殺そうとし、娘を束縛するのが愛と信じ込み、平静を保つために自傷するなど非常に狂信的。クリスも追い詰められて反省するどころか、むしろキャリーにとどめを刺そうとする。クリスはキャリーの中に邪悪を見ていたはず。やはり不浄な娘は死ぬべきなのだ。それにしても、ラストはやっぱり土中から手が伸びてくるのではと期待したが。。。

オススメ度 ★★*

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