こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

マチェーテ・キルズ

otello2014-03-05

マチェーテ・キルズ MACHETE KILLS

監督 ロバート・ロドリゲス
出演 ダニー・トレホ/ミシェル・ロドリゲス/ソフィア・ベルガラ/アンバー・ハード/カルロス・エステベス/レディー・ガガ/アントニオ・バンデラス/ジェシカ・アルバ/キューバ・グッディング・Jr/ウィリアム・サドラー/メル・ギブソン
ナンバー 52
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

悪党以上の凶悪な面構えをした主人公がギャングたちの首を鉈でぶった斬り、ヘリコプターのローターやボートのスクリューに切り刻まれた人間の肉片が周囲に飛び散る。血と暴力はもはや当たり前になってしまったシリーズ、ここでは大量の死体ですら小道具以下の扱いを受ける。他にもセクシー系から武闘派まで美女が顔をそろえ、雑な銃撃戦に加えて珍奇な新兵器が登場したり、さらに物語のキーパーソンと思しき人物があっさり殺されてしまう節操のなさは、徹底してB級を煮詰めたテイスト。安っぽさを逆手にとったやりたい放題の映像はすがすがしさすら覚えた。そして悪趣味の一歩手前でかろうじて働いた自制が、1960〜70年代スパイアクションのパロディに昇華され大いに楽しめる。

米国大統領からメキシコの革命家・メンデスの抹殺を依頼されたマチェーテは早速彼に接触するが、メンデスはロケット発射装置を心臓に直結させているため手を出せない。マチェーテはメンデスを生きたまま米国に連れ帰ろうとする。

その間マチェーテとメンデスに賞金がかかり、多くの殺し屋たちが彼らの命を狙う。特に娼館の女主人が装着したマシンガンブラジャーには“そんなアホな”と思わせるユーモアが漂い、出会った人すべての口を封じる殺し屋・カメレオンの変装も無駄に豪華。唯一、洗練された格闘技を身に着けている男もクローンというオチがつく。むしろいくら銃弾を喰らっても首つり処刑にされても表情一つ変えないマチェーテの不死身ぶりこそが一番の見どころなのだが、サブキャラの充実ぶりに目を見張った。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

本来、低予算ゆえにアイデアを絞ったにもかかわらず出来がイマイチの映画に対するリスペクトから生まれたこの作品、前作にもまして大物俳優や歌手を贅沢に使うなど、遊び心はいっぱいだ。ただ、メル・ギブソンが敵役として活躍する終盤にかけて、それらが悪ふざけに見えてしまうのが残念だった。

オススメ度 ★★*

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