こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ホビット 竜に奪われた王国

otello2014-03-04

ホビット 竜に奪われた王国
The Hobbit: The Desolation of Smaug

監督 ピーター・ジャクソン
出演 イアン・マッケラン/マーティン・フリーマン/リチャード・アーミテージ/ベネディクト・カンバーバッチ/エバンジェリン・リリー/ リー・ペイス/ルーク・エバンス
ナンバー 51
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

邪悪な気配が立ち込める深い森で巨大クモの襲撃に遭い、両岸で敵が待ち構える激流を樽で下り、切り立った険しい岩山を登り、炎を吐く竜に戦いを挑む。特別な訓練もせず、破壊力抜群の秘密兵器を携えているわけでもない、あるのはただ奪われた国を取り戻す強い意志と何者も恐れない勇気。物語は前作に引き続き重大な使命を帯びた一行が度重な試練を機転と行動力で切り抜けていく姿を描く。隅々に至るまでディテールたっぷりに表現されたこの作品の壮大な世界観は圧倒的な情報量の一方で、登場人物の怒りや恐怖、希望と苦悩といった感情もまた表情豊かに再現される。目くるめく急展開のスピーディな映像の連続はアップダウンが激しいジェットコースターに乗っているよう。あまりにも強烈な刺激を長時間にわたって受けたために平衡感覚がおかしくなってしまった。

ガンダルフと一時別の道をたどり、はなれ山を目指すトーリンらは森を通過する途中エルフに囚われる。指輪の力で透明になったビルボのおかげでなんとか脱獄、だが森を出たところでオークたちに追いつかれる。

指輪をはめたビルボはその副作用として心を蝕まれる。いざという時には力強い味方になるが頼り切るわけにはいかない。ビルボの迷いに指輪の魔力は容赦なく触手を伸ばし誘惑する。自分の内にある欲望と弱さを認めたうえで冒険に飛び込み、仲間のために命を賭けるまでに成長するビルボの複雑で繊細な気持ちが共感を呼ぶ。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

一行は何とかはなれ山にたどり着き、トーリンは洞窟に潜む竜が集めた黄金の中からアーケン石を盗み出すミッションをビルボに与える。ビルボは狡猾で残忍な竜にひとり立ち向かうが全く歯が立たず、トーリンたちの助力で何とか窮地を脱出する。全般的に通常のファンタジー大作に比べ見せ場が波状攻撃のごとく押し寄せる上、アクションの密度も濃いために息つく間もない。2時間40分の上映時間、緊張を強いられっぱなしで非常に体力を消耗した。。。

オススメ度 ★★★

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