こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

守護神 

otello2007-02-15

守護神 THE GUARDIAN

ポイント ★*
DATE 07/2/10
THEATER 109シネマズ港北
監督 アンドリュー・デイビス
ナンバー 28
出演 ケビン・コスナー/アシュトン・カッチャー/セラ・ウォード/メリッサ・サージミラー
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


ヒーローであり続けたいという願いは時に老醜をさらし、滑稽ですらある。いかに優れた人間でも潮時というものは必ず訪れ後進に道を譲らなければならないのに、現役にこだわり続けるあまり引き際を読み誤る。この映画のケビン・コスナーと彼が演じるキャラクターはその際たるもので、もはや老害といっても過言ではなかろう。年齢を重ねたら重ねたなりの人生を演じればいいのに、またもや大失敗作「ポストマン」の銅像と同じ愚を犯す。


伝説的な米国沿岸警備隊の救難士・ベンは救助活動中に親友を亡くした上、妻にも去られ、失意のうちに訓練教官に転身する。ベンは訓練校で高校の元水泳チャンピオン・ジェイクを鍛え上げ、チームワークを教え込む。無事卒業したジェイクは、現場復帰したベンと同じ部隊に配属される。


この訓練シーンのテイストは「愛と青春の旅だち」そっくり。しごきについていけない訓練生が「DOR」を宣言すると即退学になったり、教官が憎まれ役になって訓練生が団結するように仕向けたり、集団走で口ずさむ歌のメロディも同じ。訓練生が地元の女子とできてしまうところまで真似るとは。。。他人の命を守るために時に自分を犠牲にしなければならない職業につこうとする若者を描く映画は、どうしてこうもステレオタイプなのだろう。


それでもジェイクの成長物語だけを描いていれば、単純な青春モノとして楽しめただろうが、ベンの視点まで持ち込むからややこしくなる。というより、これは純粋にケビン・コスナーの「主役でいたい病」だ。コスナー扮するベンは、クライマックスで自分の命を犠牲にしてジェイクを救うのだが、その後のオチがいけない。ベンの死体が見つからなかった代わりに、海難事故にあった民間人がベン(と思われる)救難士に励まされたというのだ。死してなお、海の守護神であり続けるベン。こんなアホなエピソードで感動するヤツはおらへんやろ。とっとと成仏しろと言いたくなった。


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